2023 Fiscal Year Annual Research Report
Neutron Dose Measurement in A Neutron/Gamma-ray Mixed Field for BNCT
Project/Area Number |
23H01896
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 勲 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30273600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 真悟 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (10823396)
日下 祐江 大阪大学, 大学院工学研究科, 技術職員 (30781314)
佐藤 文信 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (40332746)
加藤 逸郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60314390)
吉田 茂生 東海大学, 工学部, 教授 (70174927)
宮丸 広幸 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80243187)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ガラス線量計 / BNCT / 中性子ガンマ線混在場 / 遮へい材フィルター |
Outline of Annual Research Achievements |
新しいがん治療法として研究・開発が進められているホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のための中性子とγ線線量の同時分離計測手法を開発することを目指す。BNCTは現在、原子炉に代わり加速器を用い普及が急がれている。BNCTは、中性子を用いた放射線治療であり、非常に強力な中性子源を用いる。それにより治療を行うが、中性子による二次γ線が大量に生成する。つまり、患者は中性子とγ線の強力な混在場に晒されることになる。もちろん、治療中の治療以外の被ばく線量については正確に計測評価することが必要であり、現状は、金箔やTLD等による計測と計算評価を組み合わせた評価法により推定している。しかし、正確に評価されているとは言えない。将来の普及のためには、正確に患者の被曝線量を計測・評価する手法を確立しておく必要がある。難しさは、多くの検出器が中性子とγ線両方に感度がある点であり、そのため混在場において出てくる線量の内訳が不明な点にある。本研究では、現在線量計測素子として使用されているガラス線量計を用い、混在場でも中性子とγ線の線量を、別々に広いエネルギー範囲で正確に計測する手法の開発を目指している。これまでγ線については科研費にて研究を進めてきた。本申請は、最も重要になる混在場における中性子の正確な線量計測法を開発する。昨年度は、これまでガンマ線のみの場で開発されてきたフィルター設計手法を改良し、応答関数として、中性子とγ線を両方考慮し、両方の寄与を適切に含むフィルターの設計手法の検討を行った。適切、は適当な線形結合により線量が構成される、という意味であり、2種類のフィルターを製作することで中性子とγ線が評価できる、という方法である。これまで理論検討により、実現可能性が示されたが、応答の再現性と安定性について多少問題があることが分かっており、今後詰めていく。また、実際に実験を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィルター設計手法を開発し、設計作業を行ったが、応答の再現性が若干低いことと、安定性をどのように担保・評価するかについて予想外に困難性があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
混在場用のフィルターの設計には、中性子とγ線両方の応答関数を組み合わせる必要がある。これは、物理的に異なる定数を1つのマトリックスに押し込むことを意味するため、Unfolding結果の安定性に問題があるのではないかと予想されていた。また、応答関数そのものについても、ガンマ線は問題がないことはこれまでの研究で明らかになっていたが、中性子については、高エネルギーで応答の変化が少ないことと、低エネルギーで特異な応答(応答の形に有意な差がある応答)が得られ辛い、ということがあり、Flux-to-dose変換係数の再現性が低いことが分かってきていた。このため特殊なフィルターの開発を行う必要があるのではないか、という議論を行っているところである。また、安定性については、中性子とγ線の応答が物理的に異なるため、応答関数に大きなギャップが発生し、そのために逆問題の解が不安定になる、という問題が出ている。これについては、それぞれの応答の定数倍の関数を組み合わせることでギャップを埋めることを考えている。定数については、効率に押し込むことで後で元に戻すことが可能であるため問題はない。設計を終えないと製作・実験に進めないことから、今年度に急いで設計を終わらせ、速やかに実験を実施することを考えている。
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Research Products
(1 results)