2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Deep Eutectic Electrochromic Ionic Liquids Formed by Charge-Transfer Interaction and Its Application to Display Devices
Project/Area Number |
23H01937
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田原 弘宣 長崎大学, 工学研究科, 助教 (80631407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 裕人 長崎大学, 工学研究科, 教授 (30274624)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | イオン液体 / エレクトロクロミズム / 深共晶溶媒 / 電荷移動相互作用 / 深共晶イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化還元反応で色が変わるエレクトロクロミック(EC)特性を示すイオン液体は,表示のON/OFFサイクル安定性が極めて高いのみならず,高コントラストな表示デバイスとして有用である。しかし,ECデバイスの色調を増やすにはそれに応じた色を示すEC物質が必要であるが,剛直で平面性の高いカチオン性EC物質は分子量が大きくなりやすく,融点も高くなる傾向にあるため,狙った色を示すECイオン液体の分子設計が難しい。そこで本研究では,新しい液体化手法である電荷移動(CT)相互作用のドナー分子とカチオン性EC物質と混合して得られるCT性深共晶ECイオン液体の設計法を提案し,ECイオン液体のカラーバリエーションを一挙に拡張することを目指す。さらに,複数種類のEC物質を混合して得られるCT性深共晶ECイオン液体を用い,電位制御による多彩な色調変化を示すECデバイスの実現を目指す。 2023年度は,(1)イオン性EC物質の合成と融点評価,ならびに(2)CT相互作用によるイオン性化合物の融点への影響の調査を行った。(1)イオン性EC物質として,N-アルキルアクリジニウム塩やN-アルキルピリジルピリジニウムを合成した。融点は20℃~40℃程度であり,室温で過冷却状態を維持する時間が短く,このイオン性物質単独では,加熱すること無しに室温イオン液体としての利用は困難であると判断した。EC特性については,アセトニトリルを溶媒としてサイクリックボルタンメトリーと吸収スペクトルの同時測定で評価した。(2)イオン性化合物をアクセプターとして,中性の電子ドナー性物質を混合させたCT複合体の融点に関する調査を行った。まずは,融点が高いジメチルビオロゲンのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとN-エチルカルバゾール,N-ヘキシルカルバゾールの混合物の融点を測定し,両者の混合比をパラメータとして相図の作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,(1) 2~3種類のイオン性化合物の合成と融点やEC特性の評価と,(2) CT相互作用に基づく深共晶イオン液体の実現可能性について調査を行ったが,次の観点で次年度に繋がる有用な結果を得たため,このような評価とした。(1)については,イオン性化合物の単独の分子設計で,イオン性複素芳香族のイオン液体化が可能な見通しが立つと共に,CTドナーの導入によって分子設計無しで,室温で液体となる可能性が見いだせた。(2)について,現時点でジアルキルビオロゲンとN-アルキルカルバゾールの混合物で共晶点は見いだせなかったが,CT複合体形成による凝固点降下は確認出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)について,他のイオン性複素芳香族のイオン液体化に取り組む。さらに,電気化学特性や分光電気化学特性調査を進め,ライブラリ化を図る。また,(2)の観点での調査のため,現在,いくつかの種類のジアルキルビオロゲンとN-エチルカルバゾールの混合物の相図作成に取り組んでいる。また,ビオロゲン化合物に加えて,(1)で合成した複素芳香族カチオン種に対する電子ドナーを混合することに対するイオン液体化の検討も行う。
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