2023 Fiscal Year Annual Research Report
Diversification of Molecular Functions via Unique Molecular Design
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23H01952
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
熊谷 直哉 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (40431887)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ホウ素 / 触媒 / カルボン酸 / クリセン / キノリン / アミド / 光触媒 / 協奏機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
新奇分子の探求は化学を最も化学たらしめる基礎研究の一源流であり,化学者自身が創造者となりオリジナルの物性・機能探索を縦横に展開するための源泉となる。本研究では,独自の新奇分子デザインとその戦略的構築法開発を基盤とし,機能性分子や新規触媒分子を開拓することを主眼とする。分子変換技術にはサステイナビリティを無視できない時代に突入しており,既存分子の延長線上で問題解決に至るのは困難と言わざるを得ない。本計画では,従来型の分子設計から脱却し,抜本的な新奇構造デザインが具現する新奇機能創発アプローチをとることで,未踏のケミカルスペースで独自の分子機能化学を展開する。3核ホウ素触媒であるDATBは,電子チューニングを施したルイス酸性向上型誘導体,リン配位子導入誘導体を構築し,触媒活性の向上と遷移金属を絡めた複合金属触媒の開発を進めている。DATBの極度に堅牢で強力なアミド化触媒として機能する特徴を生かし,Irによるアミド還元反応をワンポットでカップルさせた,カルボン酸の還元的アミノ化反応が効率良く進行する反応条件を同定しつつある。また,独自に開発した有機光触媒であるジアザクリセン構造の各種誘導体を合成し,芳香族の直接光アミノ化反応の開発も進めている。 ジアザクリセン骨格の周辺には高い自由度で電子的チューニングが可能な各種置換基導入が可能であり,標的反応に適した酸化還元特性を有する光触媒をオンデマンド合成できる可能性を秘める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DATBの誘導体合成を可能にする新規合成法の同定により,幅広い構造展開が可能になり,高機能化・協奏機能触媒化が進みつつある。また,キノリンオリゴマーからスピンアウトしたジアザクリセン構造の光触媒機能も開拓することに成功し,新規構造から反応促進触媒機能を引き出す本研究計画は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた特徴的な構造を有する各種新規誘導体の触媒利用を本格化させる。特に,DATBと遷移金属触媒を組み合わせたカルボン酸を原料とする各種クロスカップリング反応に注力する。キノリンユニットのマクロサイクル類は,各種金属錯体化し,CO2の光還元反応など高付加価値反応を中心に1電子機構で進行する反応群を精査する。ジアザクリセン類は電気化学測定も進めながら適用反応を模索する。
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Research Products
(36 results)