2023 Fiscal Year Annual Research Report
Design, Development, and Application of New Catalytic Systems Based on 3D Aromatic Cluster Molecules
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23H01960
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西井 祐二 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70773787)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 触媒 / 芳香族化合物 / ハロゲン / ナノカーボン / クラスター分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「三次元芳香族性」というクラスター錯体に特有の性質を、化学反応の駆動力として活用した、新しい触媒系の開発を目的としており、①従来系を凌駕するハロゲン化触媒の開発、②多重ハロゲン化を利用した新奇ナノカーボンの創出、③コンセプトの一般化による新反応開拓、を目標に設定している。2023年度では主に課題①と②について実施した。 課題①:ホウ素クラスター分子として知られるカルボランを新たなプラットフォームとして触媒開発を検討した。特に、硫黄(スルフィド基)を活性点として含むものが、従来の触媒系を大きく凌駕する活性を示すことを明らかとした。また、カルボランに対して更なる化学修飾を施すことで、芳香族ネットワークを介した精密なチューニングが可能であることを突き止め、アルキル基の導入によって触媒活性と堅牢性が向上することを見出した。この分子構造と反応性の相関関係について、量子化学計算により詳細調査したところ、活性種のアクセプター性軌道の準位が重要となることが分かった。 課題②:上記で開発した新規カルボラン触媒を用いて、これまで困難とされてきた多重ハロゲン化反応を効率的に実施できることを見出した。この手法を利用して、ナノカーボン分子の合成について検討した。市販品から短工程で得られる、シクロフェニレン類やカリックスアレーン類に対する多重ハロゲン化反応については、目的とする生成物が良好な位置選択性で得られており、これを原料としたニッケル触媒でのカップリング反応を経由することで、新規ナノベルト分子に誘導化できることを見出した。光学的性質やホスト材料への応用を視野に検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題のマイルストーンとなる課題①のハロゲン化触媒の開発について、構造最適化と反応性の調査が完了した。その応用研究にも着手している状況を鑑みると、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、主に課題②および③について検討を進める。標的とする新規ナノカーボン分子については、予備的な成果が得られていることから、反応条件の最適化・生成物の構造決定・光学的性質の調査を進めていく予定である。また、課題③に関しても、ハロゲン化反応以外への適用性を検討する。
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