2023 Fiscal Year Annual Research Report
層状希土類水酸化物の帯電種束縛層設計を機軸とする機能集積型触媒の開発
Project/Area Number |
23H02000
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 孝佳 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60437358)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 層状希土類水酸化物 / アニオン交換 / ルイス酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は,層状希土類水酸化物(LRH)の層状構造に由来する帯電種束縛層を保持しつつ,水分子が関与する構造変化に基づく高機能不均一系触媒の開発を目指すものである.2023年度は,酢酸アニオン内包型RE-LRHの合成と水分子によるリフトアップ挙動の解明および反応促進作用を検討するため,ランタノイドの中で地殻存在度が比較的大きく,奇数の4f 電子数を有するNd3+, Sm3+, Gd3+, Dy3+, Er3+およびYb3+で構成されたLRHをアルカリ共沈法もしくは水熱法により合成し,アニオン交換反応を駆使してCH3COO-/RE-LRHを合成した.得られた各種LRHは,水により迅速に層空間が拡張し,希土類カチオン種の種類に寄らず1.30nm程度の底面間隔を有する層状構造が形成されることがXRD測定結果から確認できた.また,アルカリ共沈法あるいは水熱法で合成したものについて,水分子によるリフトアップ挙動に差異はないことも確認できた.これに加え,偶数の4f電子数を有するLa3+,Pr3+,Eu3+,Tb3+,Ho3+,Tm3+,Lu3+についても同様の検討を行った結果,すべての場合でリフトアップ挙動が確認できたことから,広範の希土類元素で構成される酢酸アニオン内包型LRH化合物群に特有の現象であることを示すことができた.得られた各種触媒を水溶媒中でのクネベナーゲル縮合反応に用いたところ,すべての触媒で反応が進行することが確認できた.この内容は,2023年のイオン交換研究発表会にて公表済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合計14種類のLRHを合成できたことから,4f電子数,あるいは希土類カチオン種のイオン半径をパラメーターにリフトアップ速度や反応活性が議論できる見込みであり,触媒活性評価とともに放射光X線を用いた時分解粉末XRD測定によるその場観察を進めていく予定である.また,申請書記載の物質変換反応にも展開を進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
アニオン交換体としての機能を有効利用するため,反応中間体の安定化を鍵とする物質変換反応と組み合わせて触媒活性評価を行っていく.また,LRH構造中の希土類カチオンに配位した水分子の効果的な除去についても同様に研究を進め,無機固体マトリックス中への新たなルイス酸点を累加する.現状,配位水除去条件の模索中であり,熱分解挙動と併せて構造変化を追跡していきたい.
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