2023 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物薄膜による水素イオン誘起量子物性開拓と化学デバイス応用
Project/Area Number |
23H02045
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 秀和 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80294130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Li Haobo 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20938188)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水素イオン / 強相関電子相転移 / パルスレーザ蒸着法 / 抵抗変化デバイス / スイッチング速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素イオンドープにより超巨大な抵抗変化を伴う「強相関電子相転移」を示す遷移金属酸化物を対象として、高度に構造制御したエピタキシャル薄膜の創製と第一原理密度汎関数シミュレーションにより、水素イオン応答/拡散を制御し、室温で、水素イオンに電子相転移物性が、高速かつ巨大に応答する新奇な化学応答無機酸化物薄膜結晶を創出する。パルスレーザ蒸着法を用いてNdNiO3を格子定数の異なる基板にエピタキシャル成長させると、引張り歪みが導入される基板上(LaAlO3)では、圧縮歪みが導入される基板(KTaO3)に比して、プロトンの拡散が拡散距離にして6倍程度、抵抗変調率にして実に10^4倍の向上がもたらされることを見出した。密度汎関数法に基づく水素拡散経路シミュレーションでは、水素は酸素から酸素へと跳び移る過程の障壁エネルギーが、特に圧縮/引っ張り歪みによって、大きく変調されることがわかった。さらに一度水素をドーピングした後、大気雰囲気とりだし、室温において電界抵抗変調(±8V)を行うと、LaAlO3基板上に作成したデバイスは、KTaO3基板上に作成したものに比して約30倍の大きな変調率を示した。さらに、導電性Nb-SrTiO3 (001)基板上にEuNiO3薄膜を蒸着し、リソグラフィ技術加工と水素化を施し縦型デバイスを作成した。反時計回りのバイポーラ型不揮発性スイッチングを示し、電圧パルス印加測定によりスイッチング速度評価を行った所、パルス幅が100 nsの時においても約2桁の抵抗変調を示した。このスイッチング速度は同デバイス構造を持つ酸素欠損移動型ReNiO3 デバイスと比較して3桁ほど速い。この高速化の要因として、ReNiO3 中の水素イオンは酸素欠損 と比べて活性化エネルギーが約0.4 eVほど小さく、外部電場に対して敏感だったからだと考えられる。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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