2023 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on structural factors that determine salt tolerance and most effective concentration for proteins
Project/Area Number |
23H02138
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三本木 至宏 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (10222027)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 暁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 主任研究員 (50545225)
田島 誉久 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 准教授 (80571116)
藤井 創太郎 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (90806019)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | 塩橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、研究期間全体で対象とする4種のタンパク質のうち、シトクロムcとリンゴ酸酵素の2種について、計画通り実験研究を進めることができた。シトクロムcについては当該年度中にSCI学術論文を1報発表した。その第1著者は研究分担者・藤井であり、責任著者は研究代表者・三本木である。シトクロムcに関する研究内容は以下の通りである。2つの好冷好圧細菌の相同シトクロムc(SBCPとSVCP)のうち、SBCPのみに形成される塩橋が熱耐性要因となっていることは、すでに構造解析と変異導入実験から明らかにしていた。当該年度は、SBCPとSVCPとで異なるアミノ酸残基を1つずつすべてについて、SBCPの残基をSVCPで対応するものに置換し、SBCPに形成される塩橋が最も熱耐性に貢献していることを明らかにした。塩橋をなくしたSBCP変異体の熱耐性は最も低下し、その原因である塩橋の消失とそれに伴う周辺構造の変化をX線結晶構造解析から明らかにした。リンゴ酸酵素については、研究分担者・田島が比較する2種の酵素の大腸菌での発現に成功し、さらにそれらの酵素タンパク質の熱耐性、塩耐性を測定する系を確立した。その他の2種、NTaseとピロリン酸分解酵素については、それぞれ研究分担者・藤井と研究分担者・若井が情報収集に努め、それぞれのタンパク質を大腸菌で発現させる系の構築に向けた準備を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間全体で対象とする4種のタンパク質のうち、シトクロムcについては、概要記載の通りの実験研究を行い、学術論文発表を達成したから。その他、リンゴ酸酵素については、比較する酵素の大腸菌での発現に成功し、さらにそれらの酵素タンパク質の熱耐性、塩耐性を測定する系を確立した。さらに、NTaseとピロリン酸分解酵素については、情報収集に努め、それぞれのタンパク質を大腸菌で発現させる系の構築に向けた準備を開始したため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究代表者・三本木は引き続きシトクロムcに形成される塩橋の効果について、熱耐性と塩耐性に関する実験研究を推進する。研究分担者・藤井は、NTase遺伝子を好熱菌および常温菌からクローン化し、それを大腸菌で異種発現する系を構築する。研究分担者・若井は、ピロリン酸分解酵素遺伝子を高度好塩古細菌からクローン化し、それを大腸菌で異種発現する系を構築する。併せて当初予定の通り、様々な環境(淡水、海水、塩田など)に生息する微生物由来のピロリン酸分解酵素のアミノ酸配列をデータベースから入手し、その主鎖構造の保存性と特殊性と洗い出し、由来する環境に応じて塩耐性の構造要因候補を探索する予定である。研究分担者・田島と研究分担者・藤井は、すでに発現に成功しているリンゴ酸酵素タンパク質の結晶化条件を検討し、結晶化成功後、その立体構造を英国Diamond Light Sourceにて解析する。
|