2023 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性天然物の生合成に関わる三員環構築酵素の精密解析
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23H02145
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笠原 泰志 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20732986)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 生合成 / 天然物化学 / 酵素 / 生理活性物質 / 三員環 |
Outline of Annual Research Achievements |
生理活性物質として単離された天然物有機化合物には、シクロプロパンやエポキシド、アジリジンなどの三員環構造を有するものが多く存在する。三員環構造は、大きなひずみに起因する反応性の高さに加え、配座自由度の制限により標的分子への選択性向上や結合安定化に寄与するため、多くの場合、天然物の生理活性発現に重要である。本研究ではその生合成に関わる酵素の反応解析を行った。 (1)ベラクトシンやホルマオマイシンはシクロプロピルアラニン構造を有する。代表者はその生合成機構を解析し、BelK/HrmIがL-リジンから6-ニトロノルロイシンへの酸化反応を触媒し、BelL/HrmJが6-ニトロノルロイシンからニトロシクロプロピルアラニンへの環化反応を触媒することを明らかにした。シクロプロピルアラニン構造を有する構造は2つのみが知られていたが、様々な菌に上記遺伝子の相同遺伝子が分布していた。そこで、相同遺伝子を含む遺伝子クラスターの中でクラスターに含まれる遺伝子がユニークであった遺伝子クラスターを幾つか選択し、それぞれ遺伝子の破壊株を構築して、代謝産物をHPLC で分析した。その結果一株については野生株にしか見られない代謝産物のピークが見いだされた。 (2)マイトマイシン類はアジリジン構造を有する抗腫瘍抗生物質である。その生合成について、アミノヒドロキシ安息香酸とN-アセチルグルコサミンを起点として、前者のアシルキャリアタンパク質へのロードに続いてグリコシル化反応が起こることを見出した。続く3つの反応についてもin vivo, in vitro実験で明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)については相同遺伝子の解析が進んでいること、(2)についも初期の生合成が明らかになったことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に推移しており、当初の計画に沿って研究を進める。
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