2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of Molecular Basis of Aldehyde Paradox and its Control by Food Ingredients
Project/Area Number |
23H02161
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 宜督 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (60324381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10330979)
佐藤 あやの 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 准教授 (40303002)
中村 俊之 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (90706988)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 食品 / 生化学 / 代謝 / アルコール / 遺伝子 / ケルセチン / アセトアルデヒド / アルデヒドデヒドロゲナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、日本人特有の遺伝的背景であるALDH2活性低下と疾病リスクとの矛盾を意味するアルデヒドパラドックスについて、代償的代謝リモデリングとアルデヒド代謝の観点から理解することを目的としている。以下に、本年度の具体的な成果を示す。 1)アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)アイソザイムをゲノム編集で欠損させたアルコール不耐性培養肝細胞モデル(aldh2-kdおよびaldh1a1-kd)を確立した。また、これらの細胞株がアセトアルデヒドに対して高感受性であることを確認した。 2)アルデヒドの網羅的解析法を改良HPLC-DNPH(2,4-ジニトロフェニルヒドラジン)法を用いて構築し、細胞内アセトアルデヒド蓄積量を再現性良く定量できることを確認した。 3)細胞ライセイトのアセトアルデヒド分解作用を改良HPLC-DNPH法により評価することで、簡易なアセトアルデヒド特異的ALDH活性測定法を確立した。 4)ALDHアイソザイム欠損肝細胞モデルを用いて、アセトアルデヒドに対するケルセチンの保護効果を評価した。ALDH1A1欠損変異体(aldh1a1-kd)におけるケルセチンのアセトアルデヒドに対する細胞保護作用は野生型よりも有意に低下することを見出した。さらに、ケルセチンはaldh1a1-kd細胞のALDH活性を増強しなかったことから、ALDH1A1がケルセチンによる細胞保護作用に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の交付申請書に記載した計画のうち、1)ALDHアイソザイム欠損の培養肝細胞モデルの確立、2)ALDHアイソザイム欠損肝細胞モデルの有用性の確認、3)改良HPLC-DNPH法を用いたアルデヒドの網羅的解析法の構築と簡易なアセトアルデヒド特異的ALDH活性測定法の確立、4)ケルセチンの細胞保護作用の分子機構の解明などの成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、令和5年度に引き続き、代償的代謝リモデリング誘導において主要な役割を果たすアルデヒドに関する研究を中心に推進し、培養細胞モデルによるアルデヒドプロファイルへの影響を調査する。昨年度得られたALDH欠損変異株と野生株との差異を明確にするだけでなく、アルデヒド生成を促す培養条件での検討を行う。また、HPLC-DNPH(2,4-ジニトロフェニルヒドラジン)法の分析条件を検討し、各種アルデヒドの分析システムにグレードアップする。さらに、各種アルデヒドによる代償的代謝リモデリング誘導実験を行い、代謝酵素遺伝子発現への影響を中心に解析する。
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