2023 Fiscal Year Annual Research Report
Establsihment of a scientific foundation for the use of phages in ensuring food safety
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23H02162
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 敬久 九州大学, 農学研究院, 教授 (70190816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本城 賢一 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00264101)
益田 時光 九州大学, 農学研究院, 助教 (90778060)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ファージ耐性化 / ポリフェノール / リステリア / カンピロバクター / 腸球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)これまでに収集している抗生物質耐性株を含む種々の食中毒細菌株に対して有効なファージについて検討した結果、リステリア菌に有効なファージ9株のうち最も溶菌活性が高いファージvB_LmoS-PLM9を見いだし、その溶菌活性、環境耐性、ゲノムDNAの塩基配列を明らかにした。また、カンピロバクター特異的なファージについても、溶菌活性の高い2株のファージに付いて、ゲノムDNAの塩基配列を決定した結果、これらは溶原ファージであった。しかし、溶原性に関する遺伝子領域を破壊することで溶菌ファージ化することが可能であるため,その特性について明らかにした。さらに、腸球菌特異的なファージとして、12株の異なる宿主特異性のファージを単離し,このうち活性の高い3株の溶菌ファージについてゲノムDNAの塩基配列を決定し、ファージカクテルの効果についても明らかにし、バイオフィルム、牛乳中での腸球菌殺菌効果を検討した。これらのファージは低温でも有効であり、溶菌に関係するエンドリシン遺伝子、レセプター結合タンパク質遺伝子を同定している。 2)親株と比較してファージ感受性が高い遺伝子欠損株のうち、dnaK遺伝子産物と相互作用する物質としてミリセチンやケルセチン、priA遺伝子産物と相互作用するケンフェロールやある種の抗生物質の併用機構について検討し、有効な処理条件などを明らかにした。 3)低温でも感染して溶菌するリステリア、腸球菌およびカンピロバクター特異的なファージのゲノム上で同定したベースプレートタンパクおよび溶菌酵素活性を有するエンドリシンの遺伝子をPCRにより増幅して発現ベクターに導入し,大腸菌を形質転換し、得られたタンパク質および溶菌酵素の特性を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では、本年度は、1)低温作用性の溶菌および溶原ファージの単離と感染、溶菌、耐性関連遺伝子の同定、2)ファージ耐性化に関与する遺伝子の同定による耐性化機構の体系的な理解と耐性化関与遺伝子及び遺伝子産物の機能を阻害する物質のスクリーニング であった。 1)については、リステリア菌、カンピロバクターさらに、腸球菌特異的なファージについて,低温においても有効なファージを見出し、低温において高い溶菌活性を示した理由の一つとして、感染力の強さを見出している。また、2)については、dnaK遺伝子産物と相互作用する物質としてミリセチンやケルセチン、priA遺伝子産物と相互作用するケンフェロールやある種の抗生物質の併用機構について検討し、有効な処理条件などを明らかにしたことから、順調に計画は進行していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画に従っては概ね順調に進行しているので、計画の変更については特に考えていないが、さらに食品の腐敗で問題となるシュードモナスおよび乳酸菌特異的なファージの単離についても時間的な余裕があれば検討したいと考えている。
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