2023 Fiscal Year Annual Research Report
Construction and utilization of fine reference genome of Hyuganatasu to identify genes causing mutant traits in bud sport selections
Project/Area Number |
23H02205
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
本勝 千歳 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30381057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 丈人 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00400185)
牛島 幸一郎 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (20379720)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 果樹 / カンキツ / 自家不和合性 / 単為結果性 / ゲノム / ヒュウガナツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ヒュウガナツ(Citrus tamurana)の枝変わり突然変異体の遺伝資源を利用して,2つの生殖特性(自家不和合性と単為結果性)に関する知見を獲得することである. まず,ヒュウガナツの高精度参照ゲノムの構築については,在来系ヒュウガナツのDNAをナノポアシークエンサーにおいて解析し,ゲノムの約100倍程度の塩基配列を取得した.また,オプティカルゲノムマッピング解析を行ってデータを取得した. ヒュウガナツ枝変わり単為結果性品種である‘いしかわ日向’については,開花期に‘いしかわ日向’と在来早生系統のそれぞれ約230花にラベルを付け,自然受粉が起こらないよう袋かけを行った.その後,結実率と果実成長の調査を経時的に行った.同程度の樹勢の樹では,‘いしかわ日向’の方が開花後初期の結果率に優れることを確認した.また,予備試験的に‘いしかわ日向’にジベレリンを処理したところ,通常の無核果生産に用いられるジベレリン使用濃度よりも低い濃度で良好な果実成長が確認された.一方で開花時,開花7日後,開花14日後の果実内の内生ジベレリンの調査をLC/MS/MSシステムによって調査したが,調査したGA1,GA3,GA4,GA7,GA9について,開花1週間後のGA4のみ在来系において有意に高かったが,その他では有意差は見られなかった. ヒュウガナツの自家和合性枝変わり品種・系統である‘井原日向’と自家和合系統(HYSC)およびヒュウガナツ在来系統の3種について,全ゲノムシークエンスを行ってDNAseqデータを取得した.このデータから,S15-RNaseの上流領域約4kbの配列を取得した.3種の配列を比較したが,塩基配列レベルでの違いは認められなかった.現在,各種のDNAサンプルについてバイサルファイト処理を行い,メチル化部位の検出についての準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初実験計画に挙げた,ヒュウガナツの高精度参照ゲノムの構築,‘いしかわ日向’の特性調査,自家和合系統‘井原日向’,HYSC自家和合系統の特性調査について,それぞれ着手し,結果も得られつつあることから現時点では順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究を継続して実施する.ヒュウガナツの高精度ゲノム構築では,ナノポアシークエンサーでのデータ取得を更に進め,アセンブル,アノテーションを進め参照ゲノムの完成を目指す.‘いしかわ日向’については,基本的な結実特性を引き続き調査すると共に,糖処理の効果を検証する.また,開花直後から結実初期にかけての子房のRNAseq解析を行う予定としている.自家和合系枝変わりについては,メチル化解析を引き続き行うと共に,組換えタンパク質を用いた花粉管伸長阻害試験を行う予定としている.
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