2023 Fiscal Year Annual Research Report
ミツバアケビの自家不和合性遺伝機構の解明と遺伝子マーカー開発
Project/Area Number |
23H02206
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
松本 大生 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (30632129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 拓也 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (90837634)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 遅延作用型自家不和合性 / 交雑不和合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①ミツバアケビ品種‘ふじ紫’と‘秋華’のF1後代80個体を利用した交雑試験によってミツバアケビ自家不和合性の遺伝様式を明らかにするとともに、②ゲノム解析によって遺伝子型(S遺伝子座)の判別マーカーを開発し、さらには③トランスクリプトーム解析によってミツバアケビの自家不和合反応が結実を阻害するメカニズムを理解することを目的としている。 初年度にあたるR5年度は①の実験計画の一部として、まず、F1後代80個体の雌花と雄花の開花時期を調査した。さらに、両親品種と開花時期が近かったF1後代12個体を対象にして総当たり交雑(計144交配)を行った。受粉後8週の着果率に基づいて各交配の和合・不和合を決定したところ、6個体と4個体がそれぞれ同一の不和合グループを形成することが明らかになった。一方で、他の2個体については交配結果が判然としない部分があり、不和合グループを決定することができなかった。この自家不和合性表現型の分離比から、ミツバアケビの自家不和合性が胞子体型である可能性が示唆された。和合と判断された交配について収穫適期に1交配につき5果実を採取し、果実中の種子数を調査したところ、花粉親の違いは種子数に影響を及ぼしていなかった。 また②の実験計画の一部として、両品種とF1後代80個体の葉を採取・保存した。一部のサンプルについてDNA抽出を試行したものの、ゲノム解析に利用できる品質のDNAを抽出することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、交雑試験と並行してF1後代80個体のゲノム解析を行う予定であった。しかしながら、ミツバアケビの高品質DNA抽出が困難であり、抽出方法の検討に時間を要したためにゲノム解析を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ミツバアケビのDNA抽出方法が確立したため、R5年度に実施予定だったF1後代のゲノム解析を行う。加えて当初計画のとおり、調査対象を拡大してF1後代15個体を用いた総当たり交雑、親品種への戻し交雑、ミツバアケビ’ふじ紫’の自家・他家受粉雌蕊の経時的観察を行う。
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