2023 Fiscal Year Annual Research Report
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23H02216
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
荒添 貴之 東京理科大学, 創域理工学部生命生物科学科, 講師 (40749975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌倉 高志 東京理科大学, 創域理工学部生命生物科学科, 教授 (70177559)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | いもち病菌 / 擬似有性生殖 / ゲノム交雑 / 水平伝播 / 染色体移行 / ゲノム進化 / 不稔化 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物病原糸状菌には交配能を失った (雌性) 不稔性株が多数存在し,同一遺伝情報をクローンとして複製することが一般的な無性生殖の中で様々な多様性を獲得してきている。本研究では,有性器官を介さずに菌糸融合・核融合・染色体配列の交換 (移行) 反応が生じると考えられる擬似有性生殖に着目し,イネいもち病菌をモデルとして本機構の全体像を分子レベルで捉えることを目的とする。
本年度は擬似有性生殖を検出するためのマーカー遺伝子導入株の作出・選定を行い,様々な培地組成や菌株との組み合わせによって擬似有性生殖頻度に差異が生じることを明らかにした。さらに擬似有性生殖を高感度に検出可能な菌株ならびに培地組成を用い,菌糸融合・核融合・染色体配列の交換 (移行) 反応に関わることが推測された各遺伝子群の破壊株を網羅的に作出し,擬似有性生殖頻度の低下または上昇を指標として関連遺伝子のスクリーニングを試みた。その結果,擬似有性生殖頻度の低下がみられた膜タンパク質,シグナル伝達経路,転写因子等を抽出し,これらの遺伝子機能からこれまで未解明であった擬似有性生殖の基本骨格となるメカニズムの推定に成功した。また擬似有性生殖と有性生殖機構の比較解析を開始し,一部で結果が得られてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた推定関連遺伝子について遺伝子破壊株を取得することができ,これらの破壊株の解析から擬似有性生殖に関わる主要遺伝子ならびに基本機構の抽出に成功した。一部では当初の予定よりも大幅に研究が進み,新規性のある知見を複数得ることができた。おおむね計画通りに研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の解析において抽出された主要関連遺伝子情報をベースに擬似有性生殖機構を再考し,解析対象とする遺伝子および供試菌株を拡大することで,さらなる関連遺伝子や機構の抽出を進めていく。また擬似有性生殖後のゲノム解析を実施し,どのような多様性が生み出されるのかを明らかにすると共に,有性生殖との違いや不稔化との関連性についても追求していく。
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Research Products
(8 results)