2023 Fiscal Year Annual Research Report
Novel mechanism of host manipulation by Wolbachia endosymbiont
Project/Area Number |
23H02229
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
陰山 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60401212)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, JSPS 特別研究員 (00912255)
小長谷 達郎 奈良教育大学, 理科教育講座, 准教授 (80837790)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | ボルバキア / キタキチョウ / 生殖操作 / 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「細胞内共生細菌ボルバキアによる宿主操作の新規メカニズム」の推進に当たって、まず研究対象となる昆虫であるキタキチョウ(Eurema mandarina)のゲノムデータを整備する必要があった。計画通り、種子島由来の3種類のキタキチョウ(性染色体の構成がZZ型、WZ型、Z0型のもの)から高分子ゲノムDNAを抽出し、ロングリードシークエンスを行った。現在、Z染色体上の分子マーカーを複数作成し、ボルバキアによってZ染色体上の部位によって本数の違いが生じているのかどうかを検出するためのスクリーニング系の構築を進めている。また、ボルバキアによるZ染色分解が培養細胞を用いることによって再現できるのかどうかを明らかにするため、キタキチョウに由来する培養細胞であるWZ細胞(NARO-Em91)およびZZ細胞(NARO-Em92)に、ボルバキアを人工感染させ、感染量が高まった状態において、サンプリングを進めているところである。さらには、ボルバキアがキタキチョウに対して持っているメス化能力(性転換能:doublesex, masculinizer, znf-2などの性決定に関連する遺伝子のスプライシングパターンをオス型からメス型に変化させる能力)を同じチョウ目昆虫であるアズキノメイガ(Ostrinia scapulalis)のオスに由来する培養細胞に人工感染させることによって明確に、しかも容易に検出できることを見出した。この内容については、すでに学術誌に論文を投稿し、現在リバイス中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りキタキチョウのゲノム解析を進めることができ、次のステップに進めている。さらにアズキノメイガ細胞を用いて明瞭にボルバキアが持つ性転換能が検出できることが分かり、今度の研究に有用なツールが整備できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、キタキチョウのゲノムデータを利用したZ染色体削減の検証と培養細胞を利用した当該現象再現、およびそのためのサンプリングに注力し、DNAメチル化の検証については、余力があれば進めるが、困難な場合は3年目に行うことにする。また新知見が得られた場合は、できるだけ早期に論文として発表する。
|