2023 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物の雄性遺伝資源保全に向けた体外精子生産技術の開発
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23H02232
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山本 ゆき 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20645345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 香寿美 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20872774)
木村 康二 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (50355070)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 精巣 / 精子形成 / 器官培養 / セルトリ細胞 / 希少動物保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023 年度は以下の内容について実施した。 1. 犬、猫、ニホンザル、ウシ精巣組織の組織学的解析:各動物の精巣組織を用いて、年齢と照らし合わせて精巣機能を検討した。4% パラホルムアルデヒドで固定し、生殖細胞の細胞増殖、減数分裂、精子形成の有無、セルトリ細胞機能の状態について、免疫組織化学を用いて検討した。性成熟年齢以降の個体では減数分裂や精子形成が確認され、セルトリ細胞ではアンドロゲン受容体やレチノイン酸合成酵素の発現が確認された。一方未成熟の個体では、Ki67 発現が確認されたことから生殖細胞の体細胞分裂は確認できたが減数分裂や精子形成は進行しておらず、セルトリ細胞のアンドロゲン受容体発現は確認できなかった。精子形成を進行させるためには、セルトリ細胞の成熟と機能発現が重要であると考えられる。 2. 精巣器官培養による細胞機能の変化:未成熟ウシおよび成熟したニホンザルの精巣組織が十分に入手できたため、器官培養を実施した。マウスで成功している手法をもとにアガロースゲル上の気相液相界面培養を行い、1,2,4,6 週間後に培養組織片を回収して免疫組織化学を実施した。未成熟ウシの培養精巣組織では、レチノイン酸の添加により生殖細胞の増殖が刺激されていたが、減数分裂の進行は認められなかった。またゴナドトロピンの添加も実施したが、精子形成やセルトリ細胞の成熟を誘導することはできなかった。成熟ニホンザルの精巣においては、培養前に豊富に存在していた生殖細胞は培養開始後に減少した。精子の存在は確認されたものの、アクロソームタンパク質が確認できず、正常精子でない可能性が示された。今後、各動物のより詳細な生理環境を明らかにし、培養手法の改良を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ、当初予定していた通りに実験が遂行しており、さまざまな動物の精巣組織も回収できている。今年度の結果を踏まえ、培養手法の改良について次年度以降進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の結果より、精子形成には生殖細胞のみならず他の精巣細胞機能の重要性が考えられた。そこでセルトリ細胞やライディッヒ細胞の機能解析を実施し、培養下でそれらの細胞機能を維持したり、その代替となりうる培養条件を検討する。2023年度に検討できなかった他の動物種についても解析を進めていく。
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Research Products
(3 results)