2024 Fiscal Year Research-status Report
形成層細胞のミトコンドリアが司る樹木の二次木部形成メカニズムの解明
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23K26972
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 宇外 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (70337707)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安江 恒 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)
内海 泰弘 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50346839)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Keywords | 樹木ミトコンドリア / 二次木部形成 |
| Outline of Annual Research Achievements |
樹木形成層で作られる二次木部は、主要な木質バイオマス資源である木材となる。形成層細胞のミトコンドリアは木部細胞形成と密接に関係し、その活性レベルは、形成層活動の制御を通じて樹木の成長と木材の材質特性の発現に大きく影響すると考えられる。本研究は、形成層細胞のミトコンドリアの構造、機能、挙動と樹木の二次木部形成の制御機構の関係を明らかにすることを目的とする。令和6年度は、引き続きカラマツ2個体およびアカエゾマツ2個体についてミトコンドリアゲノムの解析を行った。これらの当年の新葉をホモジナイズした後、遠心操作によりミトコンドリアおよび葉緑体の両方を含む精製画分を取得した。続いてDNAの抽出・精製を行った後、次世代シークエンス解析(NGS解析)により塩基配列のリードデータを得た。得られたリードデータからソフトウェアGetOrganelleによりミトコンドリア由来のデータを抽出し、コンティグ配列を構築した後、Prokkaにより遺伝子配列領域を推定した。得られたコンティグ配列の全体長さを同属他樹種のそれと比較したところ、かなり短かった。推定遺伝子領域の解析結果から、リボソームRNAや転移RNAについてはおおよそアノテーションができたと考えられた。一方、呼吸反応に関係する酵素の遺伝子については5遺伝子ほどがアノテーションされ、想定される遺伝子数の5分の1ほどであった。これらの結果から、リードデータを抽出する段階で多くの塩基配列が解析の対象から外されたことが考えられた。カラマツおよびアカエゾマツ形成層細胞内のミトコンドリアについて、蛍光染色による観察を行った。形成層帯の分裂領域から拡大領域では、ミトコンドリアは比較的融合化した状態で存在していた。一方、二次壁形成領域ではミトコンドリアは分裂し、比較的分散化した状態にあると考えられた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新葉からの樹木ミトコンドリアの分画・精製について改良を図り、ミトコンドリアゲノム全配列の解析を行ったが、依然として取得できた配列長さは短かった。アノテーションの解析結果から、リボソームRNAや転移RNAの配列データについてはおおよそ良好な結果が得られたと考えられる。ミトコンドリアにおける生体エネルギー産生に関わる酵素群の遺伝子配列については、ATP合成酵素サブユニットや電子伝達系の酵素の一部で明らかにされた。しかしながら、想定される酵素すべての遺伝子配列について十分なデータは得られていない。以上より、目的とするミトコンドリアゲノムDNAの解析が困難で十分に解析できておらず、全体の進捗はやや遅れていると判断される。
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| Strategy for Future Research Activity |
樹木ミトコンドリアの機能を解析するうえで、クエン酸回路、電子伝達系およびATP合成に関わる酵素群の遺伝子配列を同定することは不可欠であることから、引き続きミトコンドリアゲノム解析を実施する。すでにデータベースに登録されている同属他樹種のミトコンドリアゲノム配列では、他の植物と比べて全長配列がかなり長いこと、コード領域間にあるintergenic spacer 配列がとても長いことが認められる。これらから考えて、これまでのNGS解析では、リードデータの抽出およびコンティグ配列の構築の過程でリードデータの多くが排除されていた可能性がある。今後は、これまでの解析方法に加え、さらにより長いリードデータの取得ができるNGS解析を組み合わせる。電子伝達系およびATP合成の一部の酵素についてはその塩基配列が確定できていることから、凍結固定された形成層試料を用いて、それらの定量発現解析を行う。
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| Causes of Carryover |
令和6年度に行ったNGS解析では樹木ミトコンドリアゲノムについて十分なデータが得られなかったため、結果とともに実験や解析のプロセスについて精査を行った。また、ゲノムデータが十分でなかったことから樹木ミトコンドリア遺伝子の同定を進めることができず、これを基に行う遺伝子発現解析を予定通り進めることができなかった。これらの理由により、令和6年度の経費に次年度使用額が発生した。令和7年度においては、NGS解析についてより長いリードデータを取得できる方法に変更し、樹木ミトコンドリアゲノムの完全長の塩基配列を取得することを計画する。このNGS解析と遺伝子発現解析、およびこれらに関連する実験を行うため、令和7年度分の助成金に次年度使用額を合わせて必要な経費の支出を行う。
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