2023 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative biological oceanography between the Tsushima Warm Current and the Kuroshio
Project/Area Number |
23H02285
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
児玉 武稔 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20735899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 惇也 東京大学, 大気海洋研究所, 講師 (30762554)
山口 珠葉 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 研究員 (30845293)
中江 美里 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 研究員 (20831754)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | セジメントトラップ / 沈降粒子 / 植物プランクトン / メタバーコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年6月、2024年1月の航海に参加し、それぞれ、日本海、黒潮域のサンプリングを実施した。2023年6月航海ではその1年前の航海で設置されていたセジメントトラップの回収を実施し、1年分のサンプルを分配してもらい分析を開始した。2024年1月でもセジメントトラップによる沈降粒子の取得を実施し、またいずれの航海でも表層のプランクトン試料につてもサンプリングした。 日本海で得られたセジメントトラップ試料についてメタバーコーディングによる生物の分子同定を開始した。当該試料は水深400mおよび1000mで取得されており、その両者にどのような違いがあるか、すなわち、沈降過程に伴う分解(増殖)プロセスについて検討した。その結果、どちらの深度でも珪藻類の卓越が確認できたが、沈降物の形状を糞粒とその他に分別すると、糞粒中にはシアノバクテリアの卓越が認められ、特に、その配列数は植物プランクトンの配列数との比でみると1000mの方が増加した。これは、植物プランクトンの種(機能群)レベルで食物網構造への取り込まれ方が違う可能性がある。一方で、沈降粒子内での分解速度の違いを示している可能性もある。すなわち、光が届かない中深層で植物プランクトンの増殖が生じないため、この結果はシアノバクテリアの分解が他の植物プランクトンの分解よりも遅いことを示唆している。また、表層群集ではハプト藻類が一定の割合で出現したが、400m、1000mではほぼ出現せず、沈降粒子中の植物プランクトン群集はバイアスがかかることが明らかになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本海の沈降粒子中の分析を開始できていること、黒潮域でのサンプリングを開始し、さらに、四季の試料が集まる予定が立ったことなど、研究は順調に進展している。特に、ホルマリン固定された沈降粒子に含まれる100マイクロメートルほどの糞粒1つから、植物プランクトン群集のメタバーコーディングを実施する手法を確立したため、今後、分析を着実にすることで、研究が進展すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度中に日本海の周年試料(13本)の分析を完了させる予定である。分析方法についてはすでにほぼ確立されているため、あとはモニタリング的に分析を実施していく予定である。また、3から4航海に乗船し、試料の採集を進める予定である。 1年目の分析結果、特に、深度ごとの沈降粒子に含まれる植物プランクトン論文の違いに着目した執筆を開始する予定である。
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Research Products
(11 results)