2023 Fiscal Year Annual Research Report
ウナギ目レプトケファルス幼生の摂餌生態:食糞の実態解明
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23H02297
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
久米 元 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (00554263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小針 統 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (60336328)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | レプトケファルス / 食性 / 食糞 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管内容物のDNAメタバーコーディング解析により、ウナギ目レプトケファルス幼生3分類群(ギンアナゴ属、ハモ属、アサバホラアナゴ属)で検出された餌生物のうち、カラヌス目カイアシ類、顎脚綱、軟甲綱、渦鞭毛藻綱、ストラメノパイル、ストレプト植物、ヤムシ科、アルベオラータなどの分類群がそれぞれの個体において高い割合で検出された。先行研究において、レプトケファルス幼生の消化管内からカイアシ類由来と考えられる糞様の物質が高頻度で観察されている。従って、消化管内容物のDNAメタバーコーディング解析により検出されたカイアシ類及び顎脚綱は動物プランクトンの糞由来である可能性が考えられた。また、炭素・窒素安定同位体比分析により、レプトケファルス幼生と飼育実験により得たカラヌス目カイアシ類の糞は捕食者と餌の関係にあることが強く示唆された。一方で、これまで主要な餌として考えられてきたPOM及びヒドロ虫類とレプトケファルス幼生との間には一般的な濃縮係数の関係はみられず、栄養源として利用されていないことが示唆された。電子顕微鏡による検鏡結果から、消化管内容物とカラヌス目カイアシ類の糞は、ともに極めて類似した特徴を持つ小型で不定形の粒子を含んでいることが確認された。以上の結果から、本調査海域においてレプトケファルス幼生は基質としてゼラチン質動物プランクトンを利用せずに、選択的にカラヌス目カイアシ類の糞を摂餌している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である「レプトケファルス幼生は、基質としてゼラチン質動物プランクトンを利用せずに、カイアシ類を主とした動物プランクトンの糞のみを選択的に摂餌している」という仮説の検証に向けて、その妥当性を証明する多くのデータを得ることができた。これまでに得られた研究成果については、国内及び国際学会で発表することができた。従って、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプル数を増やして食性解析を実施し、レプトケファルス幼生がPOMを摂餌する際にゼラチン質動物プランクトンを基質として利用していないのか、動物プランクトンの糞を選択的に摂餌しているのか更なる検証を進める。また、カイアシ類の糞の栄養価について評価し、食性グループ間(植食性・雑食性・肉食性)でどのような違いがみられるのか明らかにする。
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[Presentation] The food sources of Anguilliformes leptocephali in the Kuroshio Current and adjacent waters2023
Author(s)
Kume, Gen, Minagawa, Akinori, Jinno, Satoru, Hirai, Junya, Shiozaki, Kazuhiro, Ichinomiya, Mutsuo, Komorita, Tomohiro, Habano, Akimasa, Kodama, Masafumi, Kobari, Toru
Organizer
Indo-Pacific Fish Conference 2023
Int'l Joint Research
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