2023 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝類寄生性パーキンサス属原虫の宿主範囲規定要因に関する基盤的研究
Project/Area Number |
23H02307
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 直樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30502736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 勇歩 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40895893)
吉武 和敏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (50646552)
二宮 章洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (50823522)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | Perkinsus原虫 / 宿主寄生虫相互作用 / 宿主特異性 / 生体防御 / 感染実験 / 二枚貝 / 増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は貝類の重要病原体Perkinsus原虫の宿主特性に関連するメカニズムを明らかにすることを目的としており、研究は宿主として使用する貝類を1から2種類に固定し、そこに宿主範囲が異なるPerkinsus属を攻撃するモデルを利用する計画となっている。 研究年度1年目の本年は、アサリに対して培養株が確立されている全6種のPerkinsus属原虫を注射法する感染実験を行った。その結果、P. olseniを含む5種類はアサリ体内で増殖したが、P. mediterraneusは注射直後から減少し続けた。そこで、P. olseniとP. mediterraneusを用いてこの理由を探ったところ、アサリの組織抽出液や体液である血リンパ液が両Perkinsus種の生残に影響をもたらすことは無かった。しかし、アサリ血球が存在する条件でP. olseniの生残率は変化しないが、P. mediterraneusは有意に減少した。さらに、P. mediterraneusを貪食したアサリ血球では貪食異物の処理過程で生ずる貪食胞の酸性化が認められたが、P. olseniでは酸性化が起こる割合は低かった。以上より、領主のアサリ体内での増殖性の違いは、血球による貪食後の処理過程に対する抵抗性の有無にある可能性が示された。 また、Perkinsus属原虫の宿主体内での増殖時に必要とする宿主因子の探索を行った結果、P. olseniとP. beihaiensisでは宿主が有するglycine betaineを必要とするが、それ以外の種は、自身でglycine betaineを合成することが示唆された。しかし、P. olseni/P. beihaiensisとそれ以外の種との間でアサリに対する感受性の違いは認められていないため、この性質は宿主特異性に関与するものではないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度得られたPerkinsus属原虫各種のアサリ体内での増殖特性は本課題を遂行する上での基盤情報であり、さらに2種のPerkinsus種を用いた実験でその機構に関する知見が得られたことは大きな進捗である。また、宿主体内での増殖促進因子を同定したことは、Perkinsus属原虫の増殖過程やそのメカニズムを理解する上で大きな意義を有するため、順調に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画2年度目である本年は、P. olseniがアサリ血球の貪食胞酸性化を阻止するメカニズムに関して研究を進める。その上で、アサリ体内で増殖したその他4種も同様の能力を有することを検討することで、貪食胞酸性化阻止能力と宿主特異性との関係の裏付けを行う。また、P. mediterraneusのゲノム情報を取得、P. olseniのものと比較することで、貪食胞酸性化を阻止する因子やメカニズムを検討する。 さらに、Perkinsus属原虫の自然感染は遊走子ステージによるものであり、この侵入過程における宿主特異性は前年度実施した注射法では評価できない。そこで、遊走子による浸漬法感染実験も合わせて行い、侵入時の宿主特異性についても検討を行う予定である。
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