2023 Fiscal Year Annual Research Report
細菌との相互作用を利用した新たな白色腐朽菌機能制御技術の開発
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23H02345
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
森 智夫 静岡大学, 農学部, 准教授 (80536516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道羅 英夫 静岡大学, 理学部, 教授 (10311705)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 白色腐朽菌 / 複合微生物系 / 相互作用 / リグニン分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の「白色腐朽菌と自然界由来細菌叢からなる複合微生物系」から、寒天培地を用いて二次複合微生物系を作出し、それらの各種木材腐朽関連活性(酵素活性・資化特性等)を経時的に調査したところ、白色腐朽菌の木材腐朽自体を大きく阻害している二次複合微生物系が大半であった。しかし、一部の二次複合微生物系は腐朽特性に対し誘導・阻害効果を与えており、培養初期にリグニン分解が大きく進み、培養後期には特に多糖分解が著しく抑制されるという結果を得た。リグニン分解挙動については、リグニン分解酵素活性の変動と協調している用に見えたが、複合微生物系木粉培地におけるリグニン分解酵素活性は、白色腐朽菌単一培養時よりも常に高い活性値を示していたことから、リグニン分解酵素以外にリグニン分解に関与する要因が存在することが示唆される。この二次複合微生物系の菌叢構造解析は未実施であるが、培養初期と後期で大きく菌叢構造が変動していることが予測された。 また上記複合微生物系では、白色腐朽菌とは異なる条件でリグニン分解酵素活性が誘導されているなど、特徴的な特性を示していたことから、この二次複合微生物系の元となった複合微生物系から、成分組成の異なる寒天培地を用いて新たな二次複合微生物系を作出した。現在までに、予備的にこれら二次複合微生物系の寒天培地上における菌叢構成解析を実施し、それぞれの菌叢構造が異なっている可能性を示す結果を得ており、木材腐朽特性と菌叢構造解析に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
木粉培地上で継代した複合微生物系を寒天培地で継代した結果、大半の複合微生物系では木材腐朽特性が大きく抑制される予想とは異なる結果となったが、一部の複合微生物系とは白色腐朽菌単独培養時とは異なる木材腐朽特性を示しており、ここから二次複合微生物系を作成することで、菌叢構造の異なる複合微生物系を得ることに成功し、木材腐朽時の各種活性特性および菌叢構造の変動の調査を進める事が出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の通りに、二次複合微生物系の木材腐朽特性や菌叢構造の経時的な変動を調査し、その後、菌叢解析データと各種活性データ値を基に細菌叢比較分析(細菌間の関連性を予測するネットワーク解析、各データ値と各種細菌群の存在量の関係を解析する冗長性分析等)を行い、白色腐朽菌のリグニン分解あるいは多糖分解能に対し、誘導的ないし抑制的な影響を与える可能性のある細菌種を予測する。また、リグニン分解酵素活性に影響を与える細菌の予測ならびに酵素活性誘導機構の調査も併せて行う予定。
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