2023 Fiscal Year Annual Research Report
有機ハロゲン化合物の汽水産無脊椎動物に対する毒性リスク評価
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23H02352
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
平野 将司 東海大学, 農学部, 特任准教授 (20554471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 雅也 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (80575267)
石橋 弘志 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (90403857)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 有機ハロゲン化合物 / 海産無脊椎動物 / 甲殻類 / 生態毒性試験 / QSAR |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで臭素化ダイオキシン類が沿岸域の無脊椎動物(二枚貝・小型甲殻類)に蓄積がみられることを確認してきた。このようなハロゲンを含む有機ハロゲン化合物は沿岸域において広域的に存在することが示唆され、海産無脊椎動物への毒性影響濃度について科学的知見を整備する必要がある。本研究は、当該研究グループが毒性試験や分子基盤を整備してきた汽水産アミ類(Americamysis bahia)を対象として、ハロゲン系難燃剤、有機フッ素化合物、ハロゲン系殺虫剤など有機ハロゲン化合物の毒性影響を評価することを目的としている。生態毒性試験から海産無脊椎動物に対する影響濃度を精査し、環境政策への貢献を目指す。 本年度の研究実績の概要は以下である。 1)アミ類A. bahiaを用いて農薬類を中心に急性毒性試験、成長成熟試験を実施した。p-クロロアニリン、イソキサフルトール、テンボトリオンのLC50値は、それぞれ1,690、24、81 ppbと算出された。p-クロロアニリンでは成長抑制がみられ、LOEC値は3 ppbと見積もられた。また、ハロゲン系殺虫剤ではないものの、脱皮異常を介する昆虫成長制御剤であるブプロフェジンの成長成熟試験では、最大150 ppbの濃度まで成長や成熟に対する影響は認められなかった。 2)これまで当該研究グループが実施してきた、アミ類を用いた急性毒性試験においてLC50値が得られた45化合物を対象として、QSAR解析による毒性評価を試みた。これら対象物質について209種類の記述子を算出し、LC50値を活性値としてAutoQSARによって良好なQSAR式(R2=0.99)を得た。相関マトリックスにより、構造の電子的特性の他、XlogPが高いと毒性が強い傾向にあり、水素結合供与体原子数が少ない構造は毒性が弱くなる傾向が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、甲殻類アミA. bahiaを対象としてハロゲンを含有する化学構造をもつ農薬類や含有しない農薬類を中心に急性毒性試験、成長成熟試験を行った。ハロゲン系殺虫剤について急性毒性値を取得し、成長抑制を引き起こす濃度を見積もることができた。また、毒性評価を行うためのQSAR解析に着手し、記述子と毒性値から、急性毒性に寄与する化学物質の分子的特徴について情報を得ることができた。以上から、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、アミ類に対する農薬類の毒性データを集積することができたため、継続して他のハロゲン系有機化合物の毒性データを取得する。また、行動実験を行い、神経系免疫染色やRNA-seqによるオミクス解析を実施し、毒性の作用機序について明らかにする予定である。またこれまで得てきた毒性値を基にQSAR式を得たが、精度の向上また毒性の強さに関わる分子的特徴を見出すため、QSAR解析に用いる化合物の毒性データを国際機関のデータベースより取得し、さらに大規模な毒性データを用いてQSARモデルの構築を進める予定である。
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Research Products
(11 results)