2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規脳内分子輸送法を応用したウイルス性中枢神経疾患に対する発展的治療法の開発
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23H02386
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
好井 健太朗 長崎大学, 高度感染症研究センター, 教授 (50421988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 港 長崎大学, 高度感染症研究センター, 助教 (30901029)
今内 覚 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (40396304)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | フラビウイルス / 血液脳関門 / 脳炎 / 人獣共通感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経向性ウイルスは、脳に侵入・増殖することで重篤な神経症状を引き起こすが、有効な治療法は未開発である。これは、ウイルス感染による病態の進行に対応した治療の実施が困難である事、及び 血液脳関門(BBB)の存在のため、治療薬を病態の進行する脳に到達させる手法が無い事が大きな要因となっている。そこで本研究では、神経向性ウイルス感染症について、生体イメージングによるウイルス感染リアルタイム解析モデルを確立し、BBBを透過する分子を利用した治療候補分子の脳内輸送による治療応用の検証を行う。 本年度の研究においては、神経向性ウイルスの一つでヒトや動物に致死率の高い脳炎を引き起こすダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)に対する中和抗体について、血液脳関門(BBB)を透過する性質を付加させられるように改変した組換え抗体の検証を行った。我々の研究グループが構築してきたTBEVに対する組換え抗体について、ヒトBBB機能のモデルとなるhCMEC/D3細胞を用いて透過性試験を行った。hCMEC/D3細胞を単相培養したトランスウェルを用いて、抗体のBBBモデルの透過性を検証したところ、通常の抗体では透過性は観察されなかったが、BBBの透過性に関わる推定される外来性のペプチド配列を付加した組換え抗体は、トランスウェルを透過した抗体が優位に検出された。この事により、我々が作成した組換え抗体は、BBBモデルであるhCMEC/D3細胞の表面上のレセプターに結合し、トランスサイトーシスにより細胞内を輸送され脳側に放出される機能を持っている事が示され、今後の研究においてウイルス性中枢神経疾患に対する治療法へと応用していく上で有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、BBBを透過する抗体の構築および、in vitroにおける性状解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き他の抗体やsiRNA等のウイルス増殖の抑制する分子について、BBBを透過性の付加に関する解析を進めるとともに、ウイルス感染動物実験モデルでのイメージング解析系の構築を検討し、詳細な病態発現と治療法検証のための研究開発を進める。
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