2023 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the mechanism of generation of cellular diversity in the central nervous system based on the detailed cell lineage and spatial omics
Project/Area Number |
23H02492
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
日下部 岳広 甲南大学, 理工学部, 教授 (40280862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 穣 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
中井 謙太 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60217643)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ホヤ / 中枢神経系 / ニューロン / グリア / メダカ / 空間トランスクリプトーム / 細胞系譜 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.幼生脳の細胞系譜解析:細胞系譜が未確定であったいくつか細胞の発生運命を詳細し解析し、ホヤ幼生脳の細胞系譜の精度をより高めることができた。特に上衣細胞および脳内感覚器に付随する細胞の系譜解明で大きな進展が得られた。得られた細胞系譜は既知遺伝子の発現や発現制御領域を用いた細胞標識法により、細胞系譜と単一細胞トランスクリプトームの対応付けを行った。得られた成果の一部について、原著論文を投稿中である。 2.成体脳の前駆細胞のプロファイリングと発生運命の追跡:以前の研究で成体脳は幼生脳のグリア細胞(上衣細胞)の一部から生じることを明らかにしている。しかしこれらの成体脳前駆細胞がどのような性質の細胞であるか、分かっていなかった。上衣細胞のマーカーとなるいくつかの遺伝子候補について、転写調節領域に光変換型蛍光レポーターを連結したプラスミドを作製し胚に導入することで、遺伝子ごとに異なるパターンで標識されることが確認できた。これらのプラスミドを用いた解析は、現在進行中である。 3.成体脳の空間的オミクス解析:成体脳(脳神経節+神経腺)の凍結切片を作製し、空間的トランスクリプトーム解析を行った。さらに、高解像度の組織染色画像とVisium空間遺伝子発現データを深層ニューラルネットワークによりAIに学習させ,高解像度の遺伝子発現マップを推測した。得られた結果はin situハイブリダイゼーションの結果とよく一致しており,深層生成モデルをもちいて得られた高解像度遺伝子発現マップの有効性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幼生脳を構成する細胞のうち、上衣細胞を含む未解明であった細胞系譜を決定することができた。この成果は脊索動物の頭部進化の観点からも重要な知見と考えられ、現在論文を投稿中である。また、世界に先駆けて成体脳の空間トランスクリプトームを得ることに成功し、さらに深層生成モデルをもちいて信頼性の高い高解像度遺伝子発現マップを得ることができた。これらのあたらしい成果が得られたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
幼生脳については、未解明の細胞系譜が残っているので、これを明らかにする。特に成体脳の前駆細胞のプロファイリングに注力する。成体脳については、空間トランスクリプトームデータに基づいて計算機を用いた新手法によって得られた高解像度空間遺伝子発現マップにより推測された脳の領域特異的遺伝子群について、in situ HCR(in situ hybridization chain reaction)法による解析を行う。得られた結果については、成体脳の空間的オミクス解析の結果にフィードバックし、計算機を用いた超解像遺伝子発現マッピングの精度を向上させることで、より高精度な遺伝子発現マップの構築を行う。イメージング質量分析法に着手し、統合的な空間的オミクス解析に発展させる。
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