2023 Fiscal Year Annual Research Report
交尾器の多様性の出現とその維持機構を昆虫交尾器バイオメカニクスで解き明かせるか
Project/Area Number |
23H02534
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松村 洋子 北海道大学, 農学研究院, 助教 (50968659)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | 繁殖形質 / 交尾器 / 機能形態 / バイオメカニクス / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である今年は,新たな研究環境での研究体制の構築と飼育系の立上げに尽力した.昨年度に当研究室に着任となり,大きく研究環境が変わり0からのプロジェクト立上げとなったため,ドラフトチャンバー・顕微鏡・コンピュータの導入からのスタートとなった.また研究協力者のウール教授を所属先である北大の制度により支援を受けて招へいし,遠隔地で共同研究を進めるための必要な念密なうち合わせを行うとともに,長い交尾器を持つ昆虫類を対象とした機能形態・バイオメカニクスに必要な材料を得るための野外調査を行った.本研究に必要な甲虫目のハムシ類,半翅目マダラカメムシ類,革翅目の仲間を採集することができ,適切な固定方法により今後の解析に必要な材料がある程度得られた.一部の試料については,本プロジェクトのために大型放射施設の利用許可を頂き,断層画像撮影も行った.加えて,専門化なしでは採集飼育が難しい甲虫目のハネカクシ類についてでも,専門家の協力を得ることで,採集・飼育系の確立が可能となった.甲虫目のクワガタムシ類についても,専門家の協力を得て,現在,CT/CLSM/SEMの予備データをとる段階にある.受精のうの機能形態・バイオメカニクスに関しても,所属大学内で専門家とのコンタクトをとり,現在,議論を進めるに至っている.本年度の実験に必要な飼育系確立を,ゴキブリ・コウロギ・コウチュウ類から大量飼育が可能なものを中心に試みているところである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設備の準備が業者さんとの交渉などからスタートしかなり時間を要し,また講義の準備などもあったため,初年度前半はかなり苦戦を強いられた.一方で,ドイツから研究協力者を招へいし,日常的に相談・議論が行える好況が2が月もあったことが追い風となった.大型放射光施設の利用申請も受理され,必要な断層画像をかなり得ることができ,またCLSM/SEM用の資料も一部のサブプロジェクトでは想定以上に入手出来ている.昨年度より日本昆虫学会に参加し,専門家との相談を重ねたかいもあり,ハネカクシの飼育系の維持が可能になるなど,こちらも予想外の進展であった.そのため,全体として順調に進んでいると考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は,引き続き必要な試料の収集ならびに昨年度得られた試料の解析を進める.一点,懸念事項があり,本学の共用実験棟が6月より改修工事に入る.工事期間中,CLSM/SEM等の共用設備の利用がどの程度可能かの見通しが立っていないため,4-5月にできる限りの顕微鏡写真撮影を行う.6月以降は,撮影済みの顕微鏡写真ならびに断層画像の解析を進め,一部のサブプロジェクトについては執筆を進める(革翅目および甲虫目ハネカクシ類).並行して,現在,飼育系を確立中の大量飼育が可能な昆虫類について,精液の粘度推定を進める.
|