2023 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報から解き明かす古代湖・琵琶湖におけるカワニナ類の多様化
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23H02540
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
三浦 収 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (60610962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 哲也 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (90415167)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 種分化 / 古代湖 / カワニナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの目的は、琵琶湖で多様化したカワニナ類の種分化のメカニズムをゲノムレベルから解き明かすことである。琵琶湖は、約400万年の長い歴史を持つ世界有数の古代湖である。このような長期に亘る安定した淡水環境は、生物多様化を促進することが知られている。実際に、琵琶湖からは60種以上の固有種・固有亜種が報告されている。その中でもカワニナ類の多様化は著しく、全固有種の2/3に迫る18種が琵琶湖水系において多様化したことがこれまでの研究により明らかとなっている。本研究では、琵琶湖で多様化したカワニナ類を材料にして、分子遺伝学的側面から生物多様化の仕組みの解明を目指す。 本研究プロジェクトの初年度である2023年度は、クロカワニナとトキタマカワニナの高精度のドラフトゲノム配列の作成を行った。次世代シークエンサーを用いて得たロングリード配列を用いてゲノムアセンブリを行ったところ、数千のDNA断片を得ることができた。さらにHi-C法を用いてそれらのDNA断片のグループ化を行ったところ、クロカワニナ・トキタマカワニナ共に13個の配列グループに分かれることが明らかとなった。これらのカワニナ類の染色体数は13本(2n = 26)であるため、本研究により得られた13個の配列グループは、それぞれの染色体ごとのまとまりを反映しているものと考えられる。上記2種のドラフトゲノム配列は、本研究の目的である種分化のメカニズムをゲノムレベルから明らかにする上で重要な情報資源になることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から予定していたクロカワニナとトキタマカワニナのドラフトゲノム配列の決定に成功したことから、研究は予定通り順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、カワニナ類のゲノム配列情報をさらに収集し、琵琶湖で多様化したカワニナ類の多様化のメカニズムについてゲノム配列レベルから迫っていきたい。カワニナ類の多様化には、配列レベルでの変化だけではなく、染色体レベルの変化も大きな役割を果たしていることが予想されるので、その点についても、しっかりとデータを集めていきたい。
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