2023 Fiscal Year Annual Research Report
Diversity and origin of the fern independent gametophytes growing in Japan
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23H02542
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| Allocation Type | Single-year Grants |
| Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
村上 哲明 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60192770)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 淳 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (20435738)
篠原 渉 香川大学, 教育学部, 教授 (30467443)
堀 清鷹 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (20806004)
山本 薫 横須賀市自然・人文博物館, その他部局等, 学芸員 (00766016)
常木 静河 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10632789)
高橋 大樹 東北大学, 農学研究科, 特任助教 (50913216)
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| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | 生物多様性 / シダ植物 / 独立配偶体 / DNAバーコディング / rbcL |
| Outline of Annual Research Achievements |
シダ植物には配偶体と胞子体の2つの世代が存在するが、配偶体についてはほとんど調べられてきていない。一方で、無性芽による栄養繁殖により配偶体世代だけで長期間生存し続けることがあり、それらは「独立配偶体」と呼ばれている。そこで本研究では、DNAバーコーディングを活用して、日本国内にどのようなシダ植物種の独立配偶体が見られるのか探索し、発見したものについては、どのように起源したかについても解明することを目標としている。 従来、独立配偶体は最終氷期の氷河の影響を強く受けた冷涼な地域に固有のものと考えられてきた。しかし、氷河に覆われなかった比較的温暖な日本列島においても独立配偶体が見出され始めている。本研究の目的は以下の3つである。(i) 亜熱帯域を含む国内の暖地に着目して、未記録種の独立配偶体を探索する。(ii) 独立配偶体のクローン多様性などを明らかにし、外部からの胞子供給をどのくらい受けながら独立配偶体の集団が維持されているかを解明する。(iii) 日本国内で胞子体が見られない種の独立配偶体については、海外産の同種とDNAレベルの比較を行い、その起源についても解明する。 初年度の2023年度は、まず研究目的の(i)について研究を進めた。すなわち、琉球列島や小笠原諸島を含む日本の亜熱帯地域や暖温帯地域で幅広くシダ植物の独立配偶体マットの採集と調査を行った。得られた配偶体マットはrbcL遺伝子の塩基配列情報を決定し、その情報に基づいて種同定を行った。その結果、ナンヨウタキミシダなどイノモトソウ科シシラン類の独立配偶体が小笠原諸島の島々のみならず、琉球列島においても広く生育していることがわかった。また、チャセンシダ科のナンゴクホウビシダの配偶体集団(配偶体マット)も日本の暖地に広く生育していることが分かった。これらの配偶体マットが独立配偶体かどうかについては、検討が必要である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度中には、特に琉球列島での調査が台風などの影響により予定通りには実施できない事態にも遭遇したが、一部の予算を翌年度に繰り越すことにより、亜熱帯地域での配偶体マットの採集も予定通り実施することができた。さらに、得られた配偶体マットをrbcL遺伝子の塩基配列情報に基づいてDNAバーコーディングした結果、日本列島では胞子体が報告されていないシダ植物の種の配偶体、つまり確実に独立配偶体と考えられるものが多数得られていることが確認できた。
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| Strategy for Future Research Activity |
初年度の2023年度は順調にシダ植物の配偶体マットのサンプルを得ることができた。そして、興味深い配偶体のサンプルも得られていることが確認できた。例えば、2023年度の調査によりチャセンシダ科のナンゴクホウビシダの配偶体マットが伊豆諸島(伊豆大島、八丈島、青ヶ島)や琉球列島(石垣島、西表島、与那国島)に広く生育していることが確認された。チャセンシダ科を含むチャセンシダ亜目からは、まだ独立配偶体を形成するシダ植物の種が一つも報告されていない。そこで、ナンゴクホウビシダの配偶体マットが本当に胞子の定常的な供給を経ずに栄養繁殖のみで長期間生育し続けているものかどうかを今後、詳しく調べる必要がある。ただし、これも当初の計画の(ii)の研究で対応できるものである。したがって、2024年度以降も基本的に当初の計画通りに研究を進められると考えている。
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