2023 Fiscal Year Annual Research Report
甲虫における飛翔能力の退化をもたらした遺伝基盤の解明
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23H02547
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 紘士 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00508880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 耕平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30272438)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 飛翔能力 / ゲノム / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、オオヒラタシデムシを主な調査対象として研究を行った。まず飛翔筋の有る個体と無い個体の両方が生息している千葉県の地点で採集を行い、ゲノム解析に必要なサンプルをピットフォールトラップで採集した。その結果数百個体が得られ、得られたサンプルのうちの10個体程度についてゲノム解析用にDNA抽出を行い、最も多くのDNAが採れたサンプルについてシークエンスを外注した。その結果得られたゲノムデータは良好であったため、これを用いてその後の解析を進めていくこととした。 また、遺伝子発現解析に用いるサンプルを採集するため、まず飛翔筋が有筋もしくは無筋のいずれかに固定されている地点の探索を行った。過去に採集記録があり、いずれかに固定されているという記録のある地点(北海道、宮城県、山形県)を候補としてピットフォールトラップによる採集を行った。その結果、北海道は有筋集団、宮城県は無筋集団であり、山形県は無筋個体が大半を占めるが有筋個体もやや多く現れた。そのため、これらの地点を調査地とすることとした。各地点で採集された幼虫個体を飼育し、まずは遺伝子発現解析に用いるサンプルを得るのに適切なサンプリング間隔を探索するため、終齢幼虫、前蛹、蛹の期間を計測した。この結果から、サンプリングのタイミングを前蛹の2、5日目、蛹の1、3、7、10日目とすることとした。これにもとづいてその後サンプリングを行い、遺伝子発現解析に用いるサンプルを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外でのサンプリングは順調に進んでおり、良好なデータも得られつつある。遺伝子発現解析もサンプリングが順調に進んでいる。以上のことから、充分な結果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、当初予定していたサンプルの多くが得られたため、今後は不足している地域の野外調査を行い、採集を進める。得られたゲノムデータについて解析を進める。また、これまでに得られたサンプル、および新たに得られるサンプルに関して遺伝子発現解析を行う。
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