2023 Fiscal Year Annual Research Report
シナプスの形成と再編を司るシナプス誘導遺伝子マイクロエクソン選択の分子細胞基盤
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23H02585
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉田 知之 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (90372367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和泉 宏謙 富山大学, 医学部, 技術専門職員 (00377342)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイクロエクソン / シナプス形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳神経ネットワークが機能するためには、個々の神経細胞は適切な相手とシナプスを形成し、更に一旦形成されたシナプスは環境に応じて繋ぎ替えられる必要がある。しかし、シナプス形成と再編の相手を決める遺伝的、および環境的な設計図となる分子機構の実体は明らかになっていない。本研究では、シナプス誘導タンパク質(シナプスオーガナイザー)遺伝子の持つマイクロエクソンにコードされる3ー6アミノ酸ほどの微小ペプチドがシナプスオーガナイザー間の結合組合わせを制御することにより、誘導するシナプスの種類および数が決まることに着目して、このマイクロエクソンのスプライシングによる取捨選択制御の分子機構と神経細胞機構の解明に取り組むこととした。まず、シナプスオーガナイザー遺伝子Ptprdの3つのマイクロエクソンのスプライシングパターンをマウス脳内のさまざまな部位と発達時期において解析した。その結果、3つのマイクロエクソンのスプライシングには脳部位や発達時期に応じた固有のパターンがあり、個体差は小さいことがわかった。一方で、2つのマイクロエクソンのスプライシングのパターンは神経活動によっても変化することがわかった。3つのマイクロエクソンのうち神経活動依存的な1つのマイクロエクソンについて、近傍イントロン内の系統的な欠損実験から、このエクソンのスプライシングに関わる2つの調節領域を同定した。1つは神経活動非依存的にスプライシングを促進するイントロン性スプライシングエンハンサー(ISE)機能をもち、もう1つは神経活動依存的にスプライシングを抑制するイントロン性スプライシングサイレンサー(ISS)機能をもつことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シナプスオーガナイザー遺伝子Ptprdの3つのマイクロエクソンのスプライシングパターンの解析を終え、その調節エレメントの抽出に成功している。また、ゲノム編集による調節エレメントの欠損マウス系統の樹立に際しても、個体の生存への大きな影響等がなく、当初の予定通り、順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに作出したシナプスオーガナイザー遺伝子のマイクロエクソン調節エレメントの欠損マウス系統を用いて、個々の神経細胞におけるスプライシングパターンの解析を行い、神経細胞種ごとの調節エレメントの寄与を調べる。また、変異マウスの行動解析を行い、マイクロエクソンの取捨選択調節の生理的な重要性を検証する予定である。
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Research Products
(19 results)