2023 Fiscal Year Annual Research Report
アルケン型ペプチド結合等価体の二次構造特性の解明と創薬展開
Project/Area Number |
23H02601
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鳴海 哲夫 静岡大学, 工学部, 准教授 (50547867)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | バイオイオスター(生物学的等価体) / α-ヘリックス構造 / β-シート構造 / アルケン型ペプチド結合等価体 / HBV / アミロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ペプチド二次構造に種々のADIを応用することで, それぞれのADIが二次構造を誘起・安定化する能力の解明を目指した。
-α-ヘリックス構造に適したADIを明らかにするために、結晶性に優れ、詳細な構造解析が期待できるヘリックスペプチドLLXLLLL(X = Ac5c)のAc5c-Leuペプチド結合を種々のADIに置換したヘリックスミミックの合成研究を進めた。以前の研究ではラセミ合成であったAc5c-Leu型CADI(クロロアルケン型ADI)の立体選択的合成法を開発した。また、アジリジン環形成段階の遷移状態を解析したところ、塩素原子の非共有電子対(Lp)と硫黄-炭素結合の反結合性軌道間に働くn(Cl)→σ*(S-C)相互作用が選択性発現に重要であることが明らかになった。あわせて、Ac5c-Leuペプチド結合を(Z)-フルオロアルケン骨格に置換したFADI(フルオロアルケン型ADI)の立体選択的合成法も開発した。また、合成したそれぞれのADIはペプチド鎖に導入できることを確認した。
-β-シート構造に適したADIを明らかにするために、逆平行β-シート構造を形成する結晶性AβペプチドKLVFFAEのPhe-Pheペプチド結合を種々のADIに置換したβ-シートミミックの合成研究を進めた。これまでに報告した合成法をもとに、CADI型およびFADI型ミミックの合成に成功した。また、カルボニル酸素等価体を持たないEADIの改良合成法を開発し、本合成法を用いてEADI型ミミックの合成にも成功した。さらに7残基のβシートペプチドにCADIを応用したCADI型ミミックは、対応するFADI型ミミックに比べ、βシート性が高いことが示唆され、アルケン上の置換基がペプチド二次構造に大きく影響することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADIの二次構造特性を精査するモデルペプチドの立体選択的合成法を開発し、それぞれの配列に対応する種々のADIの合成に成功している。また、β-シートミミックについては、ペプチドミメティックの合成にも成功し、R6年度に予定していた構造解析を前倒しで進めている。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した種々のADIをヘリックスペプチドに応用したペプチドミメティックを合成し、α-ヘリックス構造に適したADIを明らかにする。R7年度に予定している応用研究を視野に入れ、予察研究で見出したHBVのカプシド多量体形成を阻害するペプチドのアラニンスキャンによって阻害活性に重要なアミノ酸を同定し、ペプチダーゼ処理や構造解析を行い、ADIを導入する配列を決定する。
合成したADI含有βシートミミックの分子構造をCD測定やX線結晶構造解析により明らかにし、βシート構造に適したADIを明らかにする。また、R7年度に予定している応用研究を視野に入れ, 各β-シートミミックのアミロイド線維形成能も解析する。
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