2023 Fiscal Year Annual Research Report
Natural product syntheses based on cascade cyclization and their applications to middle-molecule drug modalities
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23H02603
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野 浩章 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30322192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有地 法人 京都大学, 薬学研究科, 助教 (60904935)
井貫 晋輔 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70736272)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | アルカロイド / 連続反応 / 金触媒 / 中分子 / ケミカルスペース |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の創薬研究において、複雑な構造と高いsp3性を有する天然物誘導体が再評価されている。本研究は、独自の金触媒環化反応によるインドールアルカロイド骨格構築法の開発と、天然物誘導体の中分子化法の開発を通じて、新しいケミカルスペースを占有する新規創薬モダリティを創製することを目的とする。当該年度は以下の2つの項目について研究を実施した。 (1) アクアミリンアルカロイド類の合成研究 申請者が最近開発した金触媒連続反応による四環性縮環インドレニン骨格構築法を基盤として、様々なアクアミリンアルカロイドの網羅的合成に適用できる新たな合成戦略の開発を行った。その結果、分子内にカルボキシル基を有する基質を用いた際に連続環化反応が良好に進行し、ラクトン部位を有する四環性インドリン骨格を得た。引き続き、窒素官能基の導入とE環構築法の検討を実施したところ、アリルアルコール部位の水酸基を利用した3-ブチン-2-オンへのマイケル付加、クライゼン転位、および分子内アミノ化を利用することで、E環部を有するアクアミリンアルカロイドの全炭素骨格の構築に成功した。 (2) 麦角アルカロイド類の合成研究 麦角アルカロイド類は、リゼルグ酸やブロモクリプチンをはじめとする数多くの生物活性天然物や医薬品が知られている。当該年度は、麦角アルカロイド型骨格の新規構築法の開発を指向した基礎的検討として、ピロールをテザーとするアレンインの環化反応に関する予備的検討を実施した。その結果、アルキン末端にフェニル基を有するアレンインに対して金触媒を作用させると、4位にカルボニル基を有するインドール誘導体が中程度の収率で得られることを見出した。さらに、反応条件によっては、インドールの6位または7位にカルボニル基を有すると考えられる予想外の生成物が得られることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従って、目的とするアクアミリンアルカロイドのE環構築法を開発し、全炭素骨格の構築に成功した。また、麦角アルカロイド合成の基礎となる新規インドール形成反応が期待通りに進行することを確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) アクアミリンアルカロイド類の合成研究 前年度までに合成した四環性インドレニン骨格について、クライゼン転位を利用したE環構築の検討を継続し、五環式インドレニン骨格の構築とアスピドフィリンAの全合成を目指す。さらに、Scholarisine骨格の構築を指向した八員環縮環インドールの合成検討を実施する。 (2) 麦角アルカロイド類の合成研究 前年度までのインドール合成法に関する予備的検討の結果について、反応が再現性良く得られる反応条件を確立するとともに、基質一般性の検討を実施する。
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