2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative drug discovery based on SARS-CoV-2 3CL protease inhibitor YH-53
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23H02614
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
林 良雄 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10322562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 敦彦 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (30790125)
神谷 亘 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60551421)
今野 翔 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70882190)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | プロテアーゼ阻害剤 / 抗ウイルス剤 / ペプチドー薬物架橋体 / 創薬 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者が 独自創製したアリールケトン型SARS-CoV-2 3CLプロテアーゼ(3CLpro)阻害剤YH-53を基盤とする不可逆的阻害剤を基にCOVID19治療薬創製を目指す研究である。具体的には、ニューモダリティの要素を融合させた4つの方向性、すなわち ① 不可逆的阻害剤YH-202からの新規誘導体の創製、② 不可逆的阻害剤基盤のPROTAC、③ 不可逆的阻害剤をペイロードとするADC、④ 不可逆的阻害剤ー光酸素化触媒架橋体の創製を目指す。 初年度(2023年度)は、① 不可逆的阻害剤YH-202からの新規誘導体の創製、② 不可逆的阻害剤基盤のPROTACの創製に注力した。新規不可逆的誘導体の創製では、ファイザー社が開発に成功したニルマトレルビルと我々の不可逆的阻害剤の構造を融合した誘導体の設計・合成を実施した。その結果、我々の不可逆的阻害のWarHeadであるテトラフルオロベンゼンをニルマトレルビルの基質認識構造に融合させたTUP-4は良好な阻害活性を示すことが明らかとなった。そこで、このTUP-4を基盤に、ニルマトレルビルのP3位に当たるtBu-Leu部分の誘導体を複数合成した。その結果、当該誘導体では、P3位にはD-TyrまたはD-Pheが良好な阻害活性に適していることを見出した。一方、②の不可逆的阻害剤基盤のPROTAC研究において、 YH-53を基盤に複数のPROTAC分子を合成した。その結果、良好な3CLpro阻害活性を示す架橋体が得られた。しかし、結果として、感染細胞レベルでの実験系においては3CLproの分解について有効な活性を得られなかった。この理由としては、当該PROTAC分子の細胞透過性に問題がある可能性が考えられる。原因究明に時間がかかると思われ、不可逆的阻害剤基盤のPROTAC研究は一旦休止することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 不可逆的阻害剤YH-202からの新規誘導体の創製においては、良好な阻害活性を示す新たな誘導体を創製することができたことから、概ね計画は順調に進捗している。次年度もさらに新規誘導体の創製を継続したい。一方、研究実績の概要で記したように、不可逆的阻害剤基盤のPROTACの創製においては、細胞において3CLProのデグレーダーとして機能するPROTACは、残念ながら得られなかった。そこで、本計画は一旦停止し、新たなデグレーダー創製の計画に移行したい。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の状況を鑑みて、2024年度以降は、本課題の目的に資する具体的なCOVID-19治療薬の創製として、① 不可逆的阻害剤YH-202からの新規誘導体の創製を引き続き実施すると共に、④の不可逆的阻害剤―光酸素化触媒架橋体の創製による3CLproの完全不活化剤の創薬に注力したい。具体的な研究内容として、①では3CLproの活性中心SH基に特異的な反応性を有し、3CLproを完全に失活できる新たな阻害剤の創製を実施する。特に、warhead部分へは生体分子とはほとんど反応しない安定な反応性基の導入による構造の最適化を目指す。そして、阻害剤単体としてCOVID-19治療薬候補化合物となり得るかについても可能性を検討していきたい。さらに、殺細胞活性を有する薬剤との架橋体の分子設計・合成を進めることで、3CLpro阻害剤を基盤としたダブルドラッグの可能性も検討してみたい。③ 不可逆的阻害剤をペイロードとするADCの創製に関しては、Trp残基を標的としたIgGの選択的な架橋法の開発も検討を始めたい。この独自Trp残基修飾技術を基盤に、抗体上へ上記検討により得られる不可逆的阻害剤を架橋し、ウイルス粒子や感染細胞を標的とするADC基盤の3CLpro不活化法の開発につなげることを目指したい。
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[Journal Article] Establishment of one-pot disulfide-driven cyclic peptide synthesis with a 3-nitro-2-pyridinesulfenate2023
Author(s)
Shida, H., Taguchi, A., Konno, S., Takayama, K., Taniguchi, A., Hayashi, Y.
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Journal Title
Chem. Pharm. Bull.
Volume: 71
Pages: 435-440
DOI
Peer Reviewed
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