2023 Fiscal Year Annual Research Report
HLAと薬物の相互作用様式の違いが持つ免疫学的・毒性学的意義の解明
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23H02644
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 晃成 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (30323405)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | HLA / 特異体質毒性 / 過敏症 |
Outline of Annual Research Achievements |
カルバマゼピンによる重症薬疹と関連するHLA-B*15:02多型を導入したマウス(B*15:02-Tg)に対しカルバマゼピンを連日投与し、免疫学的、外見的な変化が見られるか調べた。具体的には、過去に我々が確立した、アバカビル過敏症マウスモデルにおいて免疫寛容に関わるPD-1遺伝子を欠損させ、さらにCD4細胞も除去するという条件を参考に、B*15:02-Tgにおいても、抗PD-1抗体と抗CD4抗体を前処理した上でカルバマゼピンを連日投与する条件で検討を行った。投与2週間目まで投与を行い、1週間目、2週間目でリンパ節と脾臓のCD8T細胞の活性化をB*15:02-Tgとリッターメイト(LM)間で比較したが、両マウスでカルバマゼピン投与による反応に差を認めなかった。過去の報告で、B*15:02遺伝子を導入した別系統のマウスにおいては、カルバマゼピンによる重症薬疹の発症患者で特徴的に認められたT細胞受容体を遺伝子導入したマウスCD8T細胞を移植し、ここにカルバマゼピンを投与すると皮膚粘膜の炎症が再現できたとされている。今回我々が得た結果も、カルバマゼピンによるB*15:02依存する免疫活性化を介した重症薬疹発症にはB*15:02のみでは不十分で、加えて特定のT細胞受容体が必要なことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アバカビルあるいはカルバマゼピンをそれぞれHLA-B*57:01、HLA-B*15:02を発現する細胞に曝露後、細胞表面のHLAに結合している薬物量の経時変化を調べる予定だったが、LC-MS/MSの不調により定量が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
B*15:02について、特殊なT細胞受容体の必要性が示されたため、重症薬疹患者で認められているT細胞受容体を発現させた細胞を作成し、HLA-B*15:02発現細胞との共培養の有無、カルバマゼピン曝露の有無の各種条件を組み合わせたときの細胞応答について解析を行う。
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