2023 Fiscal Year Annual Research Report
がん免疫治療の奏効率向上を目指した腫瘍微小環境内の良質な炎症状態の誘導戦略
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23H02692
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大栗 敬幸 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70564061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 朱 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40561030)
長門 利純 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80431419)
小林 博也 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90280867)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 / 単球由来樹状細胞 / がん所属リンパ節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、腫瘍組織からがん所属リンパ節へと移動し、がん特異的T細胞を活性化する『単球由来樹状細胞(moDCs)の特性』に着目し、「がん所属リンパ節内のmoDCの質および量は、腫瘍組織内における炎症状態の質を反映するのではないかと仮説を立て検討をおこなっている。今年度の研究において、マウス乳がん細胞株を用いた移植腫瘍モデルを用いて、STINGアゴニストcGAMPを腫瘍組織内に直接投与するとmoDCsががん所属リンパ節に遊走することを確認した。I型IFN受容体欠損マウスを用いた検討では、cGAMP投与によるmoDCsの所属リンパ節への遊走がほとんど見られないだけではなく、遊走したmoDCsの抗原提示分子の発現が野生型マウスに比べて低下していることを明らかにした。 単球がmoDCsへと分化するには局所における炎症反応が必要であり、STING活性化によって産生されるサイトカインの種類を考慮して検討した結果、TNFaおよびIL-1bに対する中和抗体を投与することによってcGAMP投与によるmoDCsの所属リンパ節への遊走が阻害されることが確認された。moDCsの所属リンパ節遊走阻害は両サイトカインを同時に阻害することが必要であることも明らかにした。また、所属リンパ節中のmoDCsの割合と活性化CD8陽性T細胞の割合に正の相関があることを確認した。さらに、moDCsの所属リンパ節への遊走阻害がcGAMP投与による抗腫瘍効果を減弱させた。以上のことから、所属リンパ節におけるmoDCsによるT細胞への抗原提示が抗腫瘍免疫応答に重要な役割を担っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
moDCsのがん所属リンパ節への遊走に寄与するサイトカインシグナルを明らかにするとともに、所属リンパ節におけるmoDCsによるT細胞への抗原提示が抗腫瘍免疫応答に重要性を支持する知見がマウス移植腫瘍モデルにて得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
moDCsのがん所属リンパ節への遊走に重要なサイトカインシグナルがわかったことから、STING刺激によるこれらのサイトカインシグナルを増強する自然免疫活性化剤を探索し、効果的にがん特異的T細胞応答を活性化しうる免疫活性化アジュバントを創出する。
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Research Products
(2 results)