2023 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the role of a novel molecule ZAIP in the regulation of anti-inflammation and inflammatory diseases
Project/Area Number |
23H02701
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河合 太郎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (50456935)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 炎症 / 自然免疫 / サイトカイン / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、CRISPR/Cas9システムを用いたノックアウトスクリーニングにより、炎症性サイトカインの一つIL-6の発現抑制に関わると考えられる新規因子としてZAIPを見出した。ZAIPは約130kDaのタンパク質であり、ZFドメイン以外に既知の機能ドメインとの相同性は示さず、その機能については不明である。ZAIP欠損マクロファージを樹立し、解析を行ったところ、野生型細胞と比較してLPS刺激に対し100倍以上ものIL-6発現が認められた。細胞内局在を調べたところ、LPS刺激に応じて核内に集積したことから、LPSによる炎症応答制御に関わる可能性が示唆された。さらに、ZAIP欠損細胞ではヒストンH3K4モノメチル化(H3K4me1)が亢進しており、ZAIPはヒストン修飾を介してLPS誘導性遺伝子の発現制御を行っていることが示唆された。また、ZAIPに結合タンパク質の同定を行ったところ、ヒストンメチル化酵素複合体であるCOMPASS複合体の構成因子を得た。したがって、ZAIPはエンハンサー領域のヒストン修飾制御を行うことでIL-6等の炎症関連遺伝子の発現制御を行う炎症抑制のマスター因子である可能性が考えられた。今年度、LysM-Creマウスを用いて、マクロファージ・好中球特異的にZAIPを欠損するコンディショナルノックアウト(cKO)マウスを樹立し、解析を開始した。ZAIP cKOマウスでは野生型と比してLPS投与後のIL-6増加を認め、敗血症により早期に死亡した。また、コラーゲン誘導型の関節リウマチモデルを用いて解析した結果、ZAIP cKOでは顕著な関節の腫脹を認めた。これらのことから、生体内においてもZAIPが炎症抑制に働いていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロファージ特異的にZAIPを欠損するコンディショナルマウスの樹立に成功し、その表現型についての解析を開始した。その結果、ZAIP欠損マウスにおいて炎症の亢進を認める知見を得ることができた。また、ZAIP欠損細胞において発現が顕著に誘導される遺伝子についてもRNA-seqを用いて網羅的に解析を行い、ZAIPにより制御される遺伝子群をリスト化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ZAIPが制御するゲノム領域をChip-seqにより特定し、標的となる炎症関連遺伝子の特定を目指す。また、マクロファージ特異的にZAIPを欠損するマウスを用いて、敗血症、乾癬、関節リウマチ、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎等の疾患に対する感受性の検討を行う。また、ZAIPをT細胞やB細胞で欠損するマウスの作成も行う。
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[Presentation] The unfolded protein response and pyroptotic mitochondrial DNA release orchestrate to exacerbate imiquimod-induced psoriasis-like dermatitis2023
Author(s)
Daisuke Ori, Haruna Okude, Riko Konishi, Motoya Murase, Takumi Kawasaki, Ken J Ishii, Hideyuki Nakashima, Kinichi Nakashima, Miwa Sasai, Masahiro Yamamoto, Akio Tsuru, Kenji Kohno, Taro Kawai
Organizer
JSICR/MMCB 2023 Joint Symposium
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[Book] 生化学2023
Author(s)
自然免疫を介した病原体認識と獲得免疫の誘導
Total Pages
12
Publisher
日本生化学会