2023 Fiscal Year Annual Research Report
免疫レセプターと細菌リガンドの相互作用による化膿レンサ球菌感染症の分子病態解明
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23H02714
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平安 恒幸 金沢大学, 先進予防医学研究センター, 准教授 (30585170)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 化膿レンサ球菌 / 宿主細菌相互作用 / ヒト免疫レセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
化膿レンサ球菌はヒトに宿主特異性の高い病原細菌であり、化膿性炎症にとどまらず、重篤な劇症型溶血性レンサ球菌感染症まで幅広い病態を引き起こす。このように化膿レンサ球菌感染症の病態は多彩であるが、その分子機序は未だ不明である。研究代表者は最近、特定のヒト免疫レセプターが化膿レンサ球菌を認識することを発見した。このヒト免疫レセプターと細菌リガンドは双方に遺伝子多型が存在することから、宿主と細菌の遺伝子多型の組合せが多彩な化膿レンサ球菌感染症の病態に影響を及ぼしているのではないかと考えた。そこで本研究では、ヒト免疫レセプターと細菌リガンドの相互作用から、多彩な病態を示す化膿レンサ球菌感染症の分子機序を解明することを目的とする。 本年度は、前述した目的を達成するために、まず細菌側の機能解析を行った。細菌リガンドを持つ菌株と持たない欠損菌株を比較したところ、リガンド遺伝子には繰り返し配列が存在し、リガンドを持たない欠損株ではそのリピート数の違いによりフレームシフトが起きることでリガンドを欠損することが明らかとなった。さらに、リガンド欠損株の特性を明らかにするために、バイオフィルムアッセイを行ったところ、野生株と比べて欠損株ではバイオフィルムを形成する傾向が見られた。これらの結果から、細菌リガンドの有無はバイオフィルム形成に関与する可能性が示唆される。宿主側の解析では、ヒト免疫レセプターの相同性が高いため、免疫レセプター群の発現を正確に把握するために、モノクローナル抗体を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細菌リガンドには繰り返し配列が存在しているため、正確にシークエンスするのに工夫が必要となり、条件検討に時間がかかったため。また、細菌リガンド欠損株の特性に大きな実験誤差が生じることが判明したため、その検討にも時間がかかった。In vitroにおけるリガンド欠損株の特性解析はおおむね順調に進んだが、In vivoにおける実験は、動物実験の立ち上げに時間がかかったこともあり、全体的にやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
解析対象のヒト免疫レセプター群は好中球やマクロファージなど貪食細胞に発現していると報告されている。しかし、ヒト免疫レセプター群はお互いに相同性が高いため、正確な発現分布についてはわかっていない。そのため、特異的な抗体を用いて発現分布を調べる必要がある。また、好中球やマクロファージ系の細胞株にアリル特異的にヒト免疫レセプターを発現させて、免疫応答を調べる。さらに、ヒト免疫レセプターのトランスジェニックマウスを用いた病態の解析を行う。
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Research Products
(7 results)