2023 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of gut bacteria involved in aggravation of respiratory viral infection
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23H02718
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金 倫基 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (00620220)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 呼吸器系ウイルス感染 / 代謝物 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、COVID-19のような呼吸器系感染症のパンデミックが数年~十数年単位で引き起こされており、コロナウイルスやインフルエンザウイルス感染による重症化は人類の脅威となっている。パンデミックを引き起こすこれらのウイルスは、毎回種類が異なる上に、変異を繰り返すため、柔軟な対抗戦略が必要である。その対抗戦略の一つとして、各病原体に特異的な抗ウイルス薬やワクチンがある。もう一つの戦略として、病原体に対する抵抗性を何らかの方法で強化することである。これまでの報告から、生活習慣や健康状態が呼吸器系感染症のパンデミックにおける疾患病態や感受性(抵抗性)に大きく影響することが示唆されている。また近年、腸内に生息する細菌集団(腸内細菌叢)が呼吸器系ウイルス感染の重症化と関連している可能性も指摘されている。そこで本研究は、呼吸器系ウイルス感染の重症化に関わる腸内細菌を同定し、その作用メカニズムを解明することで、当該感染症の重症化を阻止するための基盤的知見を得ることを目的とした。今年度は、インフルエンザウイルスの感染感受性の異なるマウスの腸内細菌叢の構成比較を行った。その結果、感受性の異なるマウスでは特定の腸内細菌の割合が異なることが分かった。また、ウイルス排除能を比較するため、感染後のインフルエンザウイルス量を算定するための実験系の確立を行い、組織中のウイルスを算定するための条件が決定した。さらに、感染後の組織傷害の程度を比較するために、病理組織の観察を行い、感受性の異なるマウス間で炎症度が異なることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、インフルエンザウイルス感染感受性の異なるマウスの腸内細菌叢の解析や病理組織観察、ウイルス量を算定するための実験系の立ち上げを行うことができ、計画通りに研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、腸内細菌叢の解析や病理組織観察、ウイルス量を算定するための実験系の立ち上げを行うことができたため、2024年度は、①ウイルス排除能を比較するため、感染感受性の異なるマウスの感染後のインフルエンザウイルス量を、比較する。②炎症状態を比較するため、インフルエンザウイルス感染後の両マウスの肺の病理組織を観察するとともに、免疫細胞集団をフローサイトメトリーにて、遺伝子発現をRNAシークエンスにより解析する。③感染後の肺組織におけるケモカイン・サイトカインの発現を観察する。④③のケモカイン・サイトカインの発現細胞を同定するために、組織の免疫染色を行う。
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