2023 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ感染におけるM細胞の誘導機構と感染病態における役割の解明
Project/Area Number |
23H02739
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 俊介 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (40444525)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / M細胞 / iBALT / 呼吸器 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管パイエル板の濾胞関連上皮に存在するM細胞は管腔内抗原の取り込みを行うことで、粘膜免疫応答の開始に働く細胞である。申請者はこれまで、M細胞が腸管における経粘膜感染と粘膜免疫応答の鍵を握る細胞であることを明らかにしてきた。一方で、腸管外におけるM細胞の存在は不明であった。そのような状況下で申請者は気管・気管支に定常状態でM細胞が存在すること、インフルエンザウイルス感染により顕著にM細胞が誘導されることを発見した。そこで、本研究計画では、インフルエンザ感染病態におけるM細胞の役割の解明、M細胞分化制御機構を到達目標とし、呼吸器系におけるM細胞の免疫学的役割の解明を目指した。 これまでに、インフルエンザ感染におけるM細胞の誘導機構を細胞と分子レベルで明らかにしてきた。それを基にM細胞欠損マウスの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インフルエンザ感染後の二次感染モデルの作製が遅れており、現在異なる実験系の構築を検討中である。 また、遺伝子改変マウスの繁殖に予想より時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.インフルエンザ感染におけるM細胞の役割の解明 1-1 インフルエンザ誘導性M細胞の発現分子解析: iBALTにおけるM細胞の性状を発現分子により明らかにするために、インフルエンザ感染後に呼吸器上皮のシングルセルRNAseq解析を行い定常状態と比較解析する。本解析では特に、サイトカイン、受容体遺伝子の発現の違い、パスウェイ解析による活性化シグナル伝達経路、上流の制御因子の解析を行う。これにより定常状態M細胞との違いを明らかにし、さらにはiBALT M細 胞の機能、分化、活性化機構に関わる分子を推定する。 1-2 呼吸器M細胞の欠損がインフルエンザ感染病態に影響を及ぼすか: 呼吸器M細胞欠損マウスを用いて、初回感染後のインフルエンザ抗体産生能と再感染時の病態をコントロールマウスと比較する。具体的には、体重と体温の計測と、気管支肺胞洗浄液中のサイトカインとリンパ球の測定により感染症状の比較を行う。 2-1 呼吸器M細胞インデューサー細胞の同定: 多重蛍光免疫染色とフローサイトメトリー解析から、インフルエンザ感染モデルにおいてRANKLを 産生する細胞を同定し、M細胞インデューサー細胞を明らかにする。 2-2 呼吸器M細胞インデューサー細胞の性状解析: フローサイトメトリーによってiBALTのRANKL産生細胞サブセットの解析をさらに進め、細胞集団を特定する。加えて、同定したRANKL発現細胞をセルソーティングし、RNAseq解析により、その性状を発現遺伝子レベルで明らかにする。特に、受容体遺伝子の発現に着目することで、活性化に関わる分子機構を推定する。
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Research Products
(6 results)