2023 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノ粒子を核としたアルファ線による新しい悪性腫瘍治療法の開発
Project/Area Number |
23H02765
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 弘樹 大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任教授(常勤) (20448054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樺山 一哉 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (00399974)
下山 敦史 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (90625055)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 癌 / 標的アイソトープ治療 / アスタチン / アルファ線 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノ粒子を核とした、標的アイソトープ治療薬剤の開発を目指している。 これらの薬剤は、その剤型を工夫することにより、投与方法に関して最適化することを目標としている。 本年度は、まず腹腔内投与薬剤に重点を置いて開発を開始した。 まず、これまでの検討におけるいわゆるリード化合物としてmPEG-S-AuNP[211At]-c[RGDfK(C)]について検討を進めた。これまでに、ラットグリオーマ、およびヒト膵癌株BxPC3を対象に検討を行い、有効性を示唆する結果を得たが、さらに膵癌株(PANC-1)の播種モデルに対して、その生存期間延長効果を確認した。その結果、PANC-1に関しても明らかな全生存期間延長効果が認められた。作用機序の確認のため、腫瘍細胞傷害性に関する試験として、ミトコンドリア機能(CCK8)、DNA二重鎖断裂(DSB)、さらに、コロニー形成阻害試験を施行した。その結果、C6、BxPC3細胞に関して、すべての試験で腫瘍細胞傷害性を認めた。また、その効果は放射能依存性であった。さらに、環状RGDペプチドを修飾しない金ナノ粒子mPEG-S-AuNP[211At]に細胞を暴露したところ、コロニー形成阻害性はリード化合物暴露の場合と比較して弱かった。このことから、作用機序はアルファ線によるものであり、薬剤は環状RGDによるターゲティングにより悪性細胞に作用することが明らかになった。さらに、リード化合物とは異なる構造を持つ類似化合物に関しても、in vivoによる薬物動態試験を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アスタチン標識金ナノ粒子薬剤の腹腔内投与による、悪性細胞の殺傷に関する基本的なデータの収集を行っている。細胞実験レベルで細胞障害性が放射能依存的であること、標的分子による細胞内在化がメカニズムとして重要であることを示唆する実験結果を収集し始めている。これらは、アルファ線による腹膜播種治療に関して、重要な基礎的データであり、成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実験動物の腹腔内に提案するリード化合物を投与し、その動態を詳細に確認する予定である。さらに、分子構造を変化させたその他の候補化合物を作成し、それらの化合物の安定性を確認したうえで、実際に実験動物の腹腔内に投与し、その動態を同様に確認する予定である。また、それらの化合物にアスタチンを標識し、その標識率、標識の安定性の確認も必要であると考えている。
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[Book] 診療放射線技術2024
Author(s)
加藤弘樹, Doi, Kunio, 土井, 司, 石田, 隆行, 藤埜, 浩一, 隅田, 伊織, 小塚, 隆弘, 富山, 憲幸
Total Pages
442
Publisher
南江堂
ISBN
9784524232420