2023 Fiscal Year Annual Research Report
補助刺激受容体とクロストークするキメラ抗原受容体シグナロソームの視点と開発基盤
Project/Area Number |
23H02775
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
横須賀 忠 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10359599)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 新 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00360579)
若松 英 東京医科大学, 医学部, 講師 (40632617)
町山 裕亮 東京医科大学, 医学部, 講師 (40704606)
西嶋 仁 東京医科大学, 医学部, 講師 (60425410)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | CAR-T細胞 / シグナル伝達分子 / マイクロクラスター / 免疫シナプス / 免疫チェックポイント / 2B4 / ICOS / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤やキメラ抗原受容体CAR-T細胞療法は適応症例が拡大している現在も、いまだメカニズムの全容は把握されておらず、開発途中にある。どちらの治療の中核を担うT細胞バイオロジーを真に理解するため、シグナロソームとして免疫細胞活性化のシグナル単位という視点に立ち、かつ1細胞1分子イメージングによってTCRおよびT細胞補助シグナルを可視化定量化することで、T細胞応答を調節する活性型・抑制型補助刺激受容体およびCARのシグナロソームとの双方向的研究を目的とした。2023年度は①T細胞およびNK細胞の補助刺激受容体2B4、②同ICOSの分子イメージングとCARの生化学的解析および抗腫瘍効果の検証を行った。通常CAR-2B4には脱リン酸化酵素SHIPがリクルートし、抑制性シグナロソームを形成するが、アダプター分子SAPの人為的発現でキナーゼFynがリクルートし活性型シグナロソームへとスイッチする現象がみれらた。また、細胞傷害活性の上昇が見られる一方、サイトカイン産生には影響しないことが確かめられた。CAR-ICOSにはフォスファチジルイノシトールキナーゼPI3Kが遷延化する形でリクルートし、これまで知られていたCD28-PI3K経路をリバイスする結果が得られた。またCAR-CD28と比較しても、サイトカイン産生や細胞傷害活性は遜色ないことを、in vitroおよびin vivoで示した。引き続き、科学的根拠に基づいたCARのデザインの創出と、反転的に複雑なT細胞補助刺激受容体ネットワークの解明を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CAR-2B4は世界的にも試験されてきた歴史がある一方、実用化には至っていない。一方、CAR-NK細胞治療にも親和性があり、また2B4シグナル自体の解明が不十分で、CAR作製の科学的根拠に乏しい。2023年度は2B4単体の生化学的解析から行い、2B4の生体における機能を明確にすることができた。2B4のリガンドであるCD48をガラス平面支持脂質二重膜SLBへの導入に成功し、2B4の1分子観察を可能にした。2B4はリガンド依存的にクラスタリングし、通常の細胞内分子構成の場合はSHIPをリクルートし抑制性シグナロソームを形成すること、SAPの補充によりFynをリクルートし活性型シグナロソームとなることを明確に示した。同様の分子の挙動はCAR-2B4でも観察され、Fynの分子数調整を行う事でCAR-2B4が抗腫瘍効果を十分に発揮出来ることを明らかにできた。また、従来のLck中心のSrcファミリー分子のリクルートではなく、SHIPの関与も予想され、サイトカイン産生は助長しないCARであったことが分かり、サイトカイストームを誘発しない新たなCAR-T細胞を開発出来る可能性を見出した。 CAR-ICOSも、実験的には試されたものの、実用化には遠いCARの1つである。CAR-ICOSに関しても、まず、ICOS自身の解析から始め、PI3Kの制御ドメインも酵素活性ドメインも、強力かつ長時間ICOSにリクルートする現象が確認できた。これまでPI3Kシグナルのアンプリファイアーと考えられていたCD28に比較しても量質ともに10倍以上の強調効果があり、T細胞補助刺激シグナルの根本を覆す結果が得られた。CAR-ICOSの抗原特異的細胞傷害活性はin vitroでCAR-CD28相当にあること、また担がんマウスモデルを用いたin vivo腫瘍縮小効果も十分獲得していることを示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
CAR-2B4-T細胞療法とサイトカインストームの関連において、サイトカイン産生量のみではなく、サイトカインストームを視野においたより強い炎症モデルにて2B4の機能的解析を予定している。体温および体重測定にてアウトプットが出せる条件設定を検討中である。 In vivoモデルをよりヒトに近似させるため、ヒト化マウスの導入を試みる一方、実験系のヒト化を予定している。まずCAR-T細胞の標的となるCD19は、マウスB細胞も発現しており、腫瘍以外のCARへの刺激がCARの活性化増強やあるいは持続する強力なシグナルによって疲弊を誘導するか、検証する必要がある。マウスB細胞特異的に発現させるプロモーターカセットを、阪大産業科学研究所宮崎先生より供与戴いたカセットを元に、ヒトCD19(hCD19)を発現するマウスの作製に着手している。二重特異性抗体との比較も範疇に考え、hCD3eのKIマウスも試みたが、細胞外ドメインのみをスワッピングさせたコンストラクトにてスプライシング異常が発生したため、cDNA全長のKIマウスを作製予定である。 CAR-4-1BBとCAR-CD28の比較検証の試み。実臨床からにわかに最近、CAR-CD28の有用性の再考とCARにおけるCD28シグナルの詳細なメカニズム解明が注目されている。4-1BBとの比較において、まず4-1BB自身のシグナロソームを解析するため、CD137LのSLBへの導入を予定し、まずHisタグ-ニッケル結合を用いた系の立ち上げを行う。次にTRAFファイミリー分子の4-1BBヘのリクルートおよびシグナロソーム形成が起こるか1細胞イメージングにて検証する。CD28単体シグナルとして我々が明らかにしたPKCq-NFkB経路と4-1BB-TRAF-NRkB経路のコンポーネントの違いを可視化すると共に、まずはCARにおける解析の基礎データの蓄積を試みる。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] Basic Immunology and Its Clinical Application2024
Author(s)
Nishi Wataru, Ei Wakamatsu, Hiroaki Machiyama, Ryohei Matsushima, Yosuke Yoshida, Tetsushi Nishikawa, Hiroko Toyota, Masae Furuhata, Hitoshi Nishijima, Arata Takeuchi, Makoto Suzuki, Tadashi Yokosuka
Total Pages
258
Publisher
Springer
-
-