2023 Fiscal Year Annual Research Report
Function of fear memory retrieval during REM sleep
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23H02784
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂口 昌徳 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (60407088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本谷 祐輝 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (50401906)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シナプス可塑性 / 海馬 / 新生ニューロン / 恐怖記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、レム睡眠中の恐怖記憶再想起の意義を解明することである。レム睡眠は夢を見る時期であり、覚醒時の恐怖体験が悪夢として再体験されることがある。この再体験時には、恐怖記憶をコードする特定のニューロン(記憶痕跡)が再活動するが、その意義は不明である。本研究では、この再活動の分析とレム睡眠中の操作を通じてその意義を明らかにする。 本年度は、特にカルシウムイメージングやAIを用いた技術でレム睡眠中の記憶再想起を詳細に分析する技術に大きな進展があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、レム睡眠中の恐怖記憶再想起の意義を解明することを目的としている。これまでの研究において、以下のような重要な進展があった。 第一に、カルシウムイメージング技術の大幅な進展である。我々は、自由行動下での海馬ニューロンのカルシウムイメージングを実現し、これを用いて99日にわたる長期イメージングに成功した。この成果は、レム睡眠中の記憶痕跡の動態解析において画期的な一歩となった。 第二に、PTSDのマウスモデル開発が順調に進展していることである。我々は、恐怖記憶の汎化を誘導できる新しいPTSDの動物モデルを確立し、このモデルを用いてレム睡眠中の記憶再想起と汎化の因果関係を詳細に解析している。このモデルは、PTSDの病態理解と治療法開発において重要な役割を果たすと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究進捗を踏まえ、2024年度は以下に焦点をおき研究を進める。 レム睡眠中の記憶固定化メカニズムの詳細解明:カルシウムイメージング技術の長期イメージング成功を活用し、記憶痕跡として機能するニューロンの動態をさらに詳細に解析する。特に、レム睡眠中におけるニューロンの同期活動が記憶固定化に果たす役割を明らかにするため、リアルタイム解析技術と組み合わせた実験を行う。確立したPTSDのマウスモデルを用い、恐怖記憶固定化とレム睡眠中の記憶再想起の因果関係を詳細に検証する。特定のシナプス可塑性や神経回路の動態を観察し、記憶汎化のメカニズムを解明する。 これらの計画に基づき、引き続きレム睡眠中の恐怖記憶再想起のメカニズムを解明し、PTSDなどの精神疾患に対する新たな治療法の開発に向けて研究を推進していく。
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