2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an inflammatory environment model in the brain that recapitulates the neurodegenerative process of immune-related neurological diseases
Project/Area Number |
23H02797
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
千原 典夫 神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (70781821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 理器 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00378754)
古屋敷 智之 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20362478)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 免疫性神経疾患 / 脳血管ユニット / 血液脳関門 / 脳内炎症環境モデル / 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)をはじめとする免疫性神経疾患では、病態進行の核として持続的な脳血管ユニット(neurovascular unit: NVU)の破綻があり、神経変性の原因の一つとなっている。本研究では研究代表者が取り組んできた免疫学的解析手法を用いて、MSの神経変性過程で認められるNVUの破綻とその修復機構を解明する新たな脳内炎症環境モデルを構築する。MS患者には治療によって神経障害が回復し良好な経過をとる群と、徐々に神経障害が蓄積する進行型の経過をとる群がある。脳組織と血液循環の接点であるNVUの破綻と修復機構が両者を分ける鍵となり、良好な経過で認められる脳内のNVU修復を促進する機構を明らかにすることがより多くの患者の進行抑制に繋がる。本研究の目的はMS患者の脳脊髄液内で増加する免疫細胞の遺伝子発現プロファイルを用いて、既存のNVU構成細胞に免疫担当細胞を加えた、新たな脳内炎症環境モデルを構築することである。先行研究から炎症発作後に神経障害を残さず良好な経過をとるMS患者の一群があることを見出しており、この群で認められるT細胞遺伝子発現プログラムを用いて、そのNVUの破綻と修復を司るT細胞を含めた免疫担当細胞の鍵因子の同定を目指す。本年度は良好な経過をとるMS患者T細胞で発現する遺伝子群を用いて、NVUバリア機能健全化の候補因子を抽出した。また、疾患修飾治療薬で発現誘導される免疫担当細胞の特徴からNVU機能制御遺伝子プログラムの構築と脳内炎症環境を反映したNVU培養モデルについて、その基盤となるin vitro培養系の作成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究から炎症発作後に神経障害を残さず良好な経過をとる多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)患者の一群があることを見出しており、この群で認められるT細胞遺伝子発現プログラムを用いて、その脳血管ユニット(neurovascular unit: NVU)の破綻と修復を司るT細胞を含めた免疫担当細胞の鍵因子の同定を目指す 。初年度は良好な経過をとるMS患者T細胞で発現する遺伝子群を用いて、NVUバリア機能健全化の候補因子を抽出した。良好な経過をとるMS患者T細胞で発現する遺伝子群を制御する転写因子に注目して、誘導される因子から、リガンド-受容体分子アトラスなどのデータベースを用いてNVUの構成細胞である血管内皮細胞、アストロサイト、ペリサイトや脳内ミクログリアとの細胞間相互作用を示す細胞表面受容体ないしサイトカインについてin silico解析で優先順位をつけて絞り込むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、疾患修飾治療薬で発現誘導される免疫担当細胞の特徴から(neurovascular unit: NVU)機能制御遺伝子プログラムを構築する。さらに既に開発した成果を補完する目的で、各種MS疾患修飾治療薬に共通して認められる、T細胞のNVU機能制御機構を確立する。複数のMS疾患修飾治療薬によって良好な経過をとるMS患者検体を用いて、T細胞に誘導される共抑制性受容体との共発現遺伝子群をRNA-seq解析等で抽出し、新たなNVU機能制御遺伝子プログラム構成因子とする。さらに、脳内炎症環境を反映したNVU培養モデルについて、その基盤となるin vitro培養系を作成する。マウスの脳血管とアストロサイト、ペリサイトの三次元共培養系を作成して複数の血管レベルを反映したNVUモデルを構築する。この系を用いて上述の転写因子が誘導する遺伝子プログラムから得られた候補因子のNVU機能への影響を検証する。
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[Presentation] 日本人多発性硬化症患者における疫学調査〜日本人集団解析結果2023
Author(s)
磯部紀子, 深澤俊行, 富沢雄二, 大橋高志, 櫻井謙三, 千原典夫, 中村優理, 野原千洋子, 佐藤弥生, 神田三智弘, 吉良潤一, study group MSERJ
Organizer
第41回日本神経治療学会学術集会
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