2023 Fiscal Year Annual Research Report
Enhancement of antidepressant responsiveness by stress via reorganization of noradrenergic signaling
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23H02801
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小林 克典 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10322041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 謙造 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (00292730)
瀬木 恵里 東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 教授 (70378628)
黒岩 真帆美 久留米大学, 医学部, 助教 (20585690)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 脳・神経 / ストレス / 抗うつ薬 / 海馬 / ノルアドレナリン |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は主に自発運動(回し車)によって生じる、マウス海馬歯状回の顆粒細胞の変化を解析した。海馬スライス標本に電気生理学手法を適用し、歯状回への入力線維の電気刺激によって生じる興奮性シナプス後電位と集合スパイクを記録し、これらに対するノルアドレナリン投与の効果を解析した。濃度依存性を確認した後に、各種受容体遮断薬の効果を解析し、さらに自発運動による変化と性差の有無を検討した。既に公表済みの結果の通り、ノルアドレナリンの効果にはアドレナリンα、β受容体及びドパミンD1受容体依存性の要素が含まれていたが、D5受容体も寄与する可能性が示唆された。運動を行わせたマウスでは、ノルアドレナリンの効果全体としては抑制傾向にあった。さらに各種受容体依存性が変化し、D1/D5受容体の寄与が増加する可能性が示唆された。また、D1/D5様受容体の寄与に性差がある傾向が見られた。運動とストレスの組み合わせの効果も検討したが、両者の条件によって結果が異なることが示唆されたため、詳細な条件検討を開始した。 同様に運動後の各種受容体発現、細胞内リン酸化反応の変化を検討した。D1受容体とD5 受容体の発現に対する運動の効果については、両者の間で異なっており、D1受容体が特異的に変化する可能性が示唆された。アドレナリン受容体発現変化も含めて解析を継続している。リン酸化反応に関しても変化する傾向が見られ、条件検討を行っている。 超解像顕微鏡解析のための抗体のスクリーニングを行った。D1受容体抗体については検討がほぼ終了した。続けてアドレナリン受容体の抗体スクリーニングに着手し、市販抗体のみならず抗体作製の可能性を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた解析には全て着手したため、ほぼ予定通り進んでいると言える。性差が見られる傾向があったことから、通常よりも必要な実験量が増えており、その点でやや遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
原則として初年度の解析を継続する。電気生理解析については、運動とストレスの組み合わせの条件検討を完了する。自発運動は運動量がコントロールできないため、必要に応じて強制運動とストレスの組み合わせの可能性についても検討する。運動、ストレス、運動+ストレスの全ての条件において、歯状回でのノルアドレナリンシグナルを担う受容体機構を明らかにする。性差が明らかになった場合は、その原因となるシグナル機構の解明も視野に含めて、解析を継続する。 電気生理解析の結果を踏まえて、受容体発現変化のPCR解析を行う。さらに、AAVを用いた受容体発現量操作の準備に入る。 細胞内リン酸化解析については、電気生理解析の結果を踏まえて、各条件でのリン酸化レベルとその各種受容体依存性を明らかにする。現在まではcAMP依存性経路の解析を行ってきたが、結果に応じて他のシグナル経路も検討する。 組織化学・超解像顕微鏡解析については、アドレナリン受容体抗体の検討完了し、ドパミンD1受容体との共局在の検討を行う。
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