2023 Fiscal Year Annual Research Report
Risks and benefits associated with stroke antithrombotic therapy in the new antithrombotics era
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23H02831
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
豊田 一則 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 副院長 (50275450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 恵宏 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, オープンイノベーションセンター長 (10312224)
古賀 政利 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (30512230)
中井 陸運 宮崎大学, 病院, 准教授 (50595147)
吉村 壮平 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (70739466)
三輪 佳織 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (80645341)
田中 寛大 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (90818402)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 抗血小板薬 / 抗凝固薬 / 脳梗塞 / 頭蓋内出血 / 脳小血管病 / リスク・ベネフィット予測スコア |
Outline of Annual Research Achievements |
抗血栓薬新時代における脳血管障害患者へのリスク(出血合併症など)とベネフィット(脳梗塞再発抑止効果など)の予測モデルを大規模データベースを用いて作成し、その妥当性を進行中の大規模脳卒中患者データベースを用いて検証する。各種臨床所見に加えて、ordinal SVD scoreないし個々の小血管病の詳細情報を説明要因とする、大出血、頭蓋内出血、虚血イベント(脳梗塞)などのリスク予測スコアを完成させる。 2023年度の最大の成果は、上記解析に適う登録研究であるBleeding with Antithrombotic Therapy (BAT) 2研究 (ClinicalTrials.gov NCT02889653; UMIN 000023669)のデータベースを用いて、脳小血管病の重症度を表すトータルSVDスコアと抗血栓療法中の出血リスクとの関連を解明し、論文発表したことである(Tanaka K, et al: Ann Neurol. 2024;95:774-787)。BAT2に登録された患者5,250例(9,933人年)に発生した大出血、頭蓋内出血、消化管出血、虚血イベントの発生リスクと脳小血管病の重症度との関連を、主にCox比例ハザードモデルの手法を用いて評価した。トータルSVDスコアが0から4へ増加すると、いずれのイベントのリスクも有意に上昇した。多変量調整後、トータルSVDスコア0と比べて、スコア4では、大出血リスクがおよそ5倍、頭蓋内出血リスクが9倍、頭蓋外大出血リスクが3倍、消化管出血リスクが2.5倍、虚血イベントリスクが2倍となった。 抗血栓薬リスク・ベネフィット予測スコアの作成も順調に進み、国際学会で結果発表した(欧州脳卒中機構カンファレンス、2023/5月、ミュンヘン)。発表時に受けた助言などに基づき、現在論文化の最終段階に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
〇2024年度中の完成を目指している抗血栓薬リスク・ベネフィット予測スコアについて、国際学会発表を済ませ、論文化を予定通りに進めている。 〇上記予測スコアを作成する上で重要な、MRI画像情報(脳小血管病、トータルSVDスコア)と出血・虚血イベントリスクとの関連を解明し、脳神経領域における海外の一流誌に掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
3つの目標、①抗血栓薬リスク・ベネフィット予測スコアの作成、②スコアの外部検証、③心房細動合併脳卒中患者の大規模コホートの整備を、2023~2026年度の研究期間に完成させる。最大の目標である①のスコアを2024年度末までに完成させる。経皮的非薬物治療、中和薬などの新治療を取り込んだ、スコア作成用コホートの登録に着手する(いわゆるBAT3)。外部検証用データベースには上記新治療などの入力項目を追加挿入するなど、抗血栓薬新時代に見合ったデータベースへ更新する。国循はソフトバンク社と共同研究の包括連携協定を締結しており、同社の協力を得て個々の患者に適した抗血栓療法の内容や継続期間を推奨するプログラムを開発する。 ①に関する予備的研究成果を紹介する。BAT2のデータベースを用いた大出血のリスク予測スコアでは、高齢、ラクナ梗塞(無症候性)、微小脳出血、抗血栓療法などが、モデルに組みこまれそうである。③に関する予備的研究成果を紹介する。日本脳卒中データバンクに登録された32578例の心房細動合併脳梗塞患者と109681例の非合併脳梗塞患者を比較すると、発症時神経重症度を示すNIH脳卒中尺度(中央値9対3)や転帰良好を示す修正ランキン尺度0~2(38.5%対60.2%)に有意差があり、前者がより重症でより転帰不良であったが、NIH脳卒中尺度を含めた多変量で調整すると前者の転帰がより良好になること(調整ハザード比 1.107、95%信頼区間 1.049 - 1.168)、また21年間の長期経過の中でNIH脳卒中尺度は有意に低下(軽症化)し、転帰良好が有意に増加するなど(年毎に1.009、1.000 - 1.018)、既存研究で解明され得なかった所見を得ている。
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Research Products
(15 results)