2023 Fiscal Year Annual Research Report
The mechanism of action of transcutaneous vagus nerve stimulation to treat psychiatric disorders.
Project/Area Number |
23H02845
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 光彦 東京家政学院大学, 人間栄養学部, 教授 (60240040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 敦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 室長 (50547289)
國石 洋 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (60805034)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 迷走神経 / 自律神経 / ニューロモデュレーション / taVNS / 脳画像解析 / ランダム化比較試験 / 経皮的耳介迷走神経刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
諸外国では、精神疾患に対するニューロモデュレーションを用いた新しい治療法候補として非侵襲的な迷走神経刺激療法が注目されている。例えば、PTSDを適応症とした頸部刺激デバイスが米国FDAによる新規医療機器承認に優先的な審査が促されるプログラの対象とされ臨床開発が進められている。また、ヨーロッパではtaVNS刺激装置が医療機器として承認されCEマークを取得している。そこで、本研究では、ノルアドレナリン投射系と免疫システムの相互作用に焦点を当て、健常者や患者を対象とした脳MRI画像解析、生理機能評価を行い、taVNSの作用メカニズムを明らかにする。申請者らは、特定臨床研究「健常成人を対象とした経皮的耳介迷走神経刺激の客観的評価指標の探索(jRCTs032220332)」で収集されたデータを用いて、taVNSの急性効果と安全性について検討を進めている。この研究は、健常成人男性10例(目標症例数10例)を対象に、ランダム化二重盲検クロスオーバー試験である。令和5年度には、taVNS刺激により心拍変動における交感神経活動の指標が有意に低下することを明らかにした。一方、瞳孔径は個人間及び個人内におけるばらつきが大きく、簡便で客観的な評価法として利用することが難しいことが確認された。また、脳画像解析では、孤束核を関心領域とした機能的結合解析を着実に進めることができた。具体的には、taVNS刺激中に淡蒼球と視床および感覚野との安静時脳機能結合が有意に低下することを観察した。一方、実験動物を用いた研究課題では、覚醒下マウスtaVNSモデルを用いて刺激を与えた際に実際にノルアドレナリン神経系が活性化するかについて検証を進めている。令和5年度には、再現性の高い刺激モデルを確立し、光遺伝学及びマイクロダイヤリシス法等の神経科学的手法を応用した基礎研究に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らは、経皮的耳介迷走神経刺激taVNSの急性効果と安全性についてのデータ解析を既に開始している。脳画像については孤束核を関心領域とした機能的結合解析を着実に進めている。また、我々が独自に開発したマウスモデルを用いて、光遺伝学及びマイクロダイヤリシス法等の神経科学的手法を応用した基礎研究に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究課題では、taVNS刺激前、刺激中、刺激後に収集された脳MRI画像データについて、孤束核-青斑核の興奮を介して活動が変化すると想定されるノルアドレナリン投射系に焦点を絞り詳細な解析を継続して行う。脳MRI画像解析として、関心領域(孤束核、青斑核、前島皮質など)をSEEDとして安静時の機能的脳結合を評価する。taVNS刺激前に比して刺激中及び刺激後において、関心領域間の機能結合が増強していることを確認する。また、taVNS刺激時の変化とSham刺激時の変化が異なる評価指標に対し、変化の違いに関連する脳回路変化およびベースライン特性を探索する解析を継続して行う。令和6年度は特に心拍変動等の自律神経系の評価項目に注目する。実験動物を用いた研究課題では、我々が確立した覚醒下マウスtaVNSモデルを用いて、刺激を与えた際に実際にノルアドレナリン神経系が活性化するか検証する。令和6年度は、taVNS刺激後にマウスをかん流固定し、脳を摘出し、孤束核や青斑核およびその他のモノアミンにおける神経活動マーカーであるc-Fosの発現を確認することで、孤束核-青斑核の活性化を評価する。さらに、マイクロダイヤリシス法にて脳内の細胞外液を回収し、HPLCにてノルアドレナリン濃度を定量(モノアミン類について網羅的に解析)することでtaVNSによって脳内ノルアドレナリン系が賦活されるかを検証する。taVNSで脳内炎症を和らげることができるのであれば、その臨床応用が広がるものと期待される。
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