2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of internal radiation therapy agents for refractory breast cancer based on phase-shift using focused ultrasound
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23H02866
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
萩森 政頼 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (40446125)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 内用放射線治療薬剤 / 位相シフト / ナノキャリア / 乳がん / 高度フッ素化ペプチド脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプルネガティブ乳がん(Triple Negative Breast Cancer: TNBC)は、乳がん治療における代表的な3つの増殖因子受容体であるエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、ヒト上皮細胞成長因子受容体2が全て欠如した乳がんである。そのため、TNBCには特徴的な治療標的が存在せず、浸潤や転移を起こしやすいことから、他の乳がんと比べて予後は悪い。したがって、TNBCの治療に資する真に有効な治療薬剤の開発は急務となっている。そこで、TNBCへの高い標的性を有するドラックデリバリーシステム(DDS)キャリアとして高度フッ素化ペプチド脂質を基盤としたがんへの高標的性と細胞内動態制御能を有する位相シフト型ナノDDSキャリアを考案し、精密分子設計により開発した放射性薬剤を搭載することでTNBCの治療に真に有効な内用放射線治療薬剤を実現できるのではないかと考え研究を開始した。 本年度は、高度フッ素化ペプチド脂質の合成を行うにあたり、フッ素化率の上昇によって生じるフルオラス効果によりキャリアの自己組織化構造の安定化と液滴状の酸素溶存量の上昇を期待してフッ素数を26個または34個含有する脂質を選択し、さらにTNBCに発現しているムチン16に特異的なペプチドリガンドを組み込んだ化合物を設計し合成に成功した。合成した化合物の単分子膜形成能については、Langmuir-Blodgett法を用いて表面圧πを測定することにより空気/水界面における吸着速度論的解析を行ったところフッ素化率の上昇により安定な単分子膜を形成することがわかった。また、リポソーム製剤化を行い、粒子径等の物理化学的評価や安定性を検討したところ、粒子径は100 nm以下であり、フッ素基により粒子の安定性の向上が確認された。次年度以降において、位相シフト型ナノ粒子の製剤化、細胞および動物実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はおおむね研究計画通りに研究を遂行することができた。本研究では高度フッ素化ペプチド脂質の設計・合成が今後の研究の成否に大きく影響するが、合成した高度フッ素化ペプチド脂質は高い膜安定性を示し、それを用いたリポソーム製剤においても良好な性質が確認できたことから今後の展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
高度フッ素化ペプチド脂質からなるリポソーム製剤について、酸素溶存能の検討や安定性への影響などの基礎的な物性を分光学的方法を用いて検討し、必要ならばペプチド脂質の再設計を行う。また、TNBC細胞を用いて細胞集積性ならびに細胞内動態の検討を行う。以上の検討の後に、TNBC移植マウスでの評価を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)