2023 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアの心筋細胞外放出制御システムを標的とした心不全発症機序の解明
Project/Area Number |
23H02902
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
前嶋 康浩 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (40401393)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / 細胞外小胞 / 心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
培養心筋細胞にミトコンドリア脱共役剤CCCP 20uMを投与して、経時的に回収した培地を遠心式限外濾過フィルターで濃縮し、SDS-PAGE法による電気泳動で分離した後、ミトコンドリアマーカーである抗ATP5A抗体を用いたウェスタンブロット法で培地内に放出されたミトコンドリア量を評価したところ、心筋細胞由来のミトコンドリアが経時的に培地に放出されていることを示唆する所見を得た。また、オートファジー制御因子Atg5やParkinのshRNAアデノウイルスを感染させた培養心筋細胞の培地を経時的に回収して培地内に放出されたミトコンドリア量を評価したところ、いずれも対照群と比較して放出されたミトコンドリア量が有意に増加していた。上記で得られた培地をネガティブ染色およびナノ金粒子でラベルした抗ATP5A抗体を用いた免疫電子顕微鏡検査を行ったところ、培地内にミトコンドリアが遊離していることを形態学的に観察できた。さらに、培養心筋細胞の超薄切標本を作成して透過型電子顕微鏡で観察したところ、心筋細胞から放出された細胞外のミトコンドリア塊を発見した。そして、ミトコンドリアを蛍光で標識した培養心筋細胞にCCCP 20uMを投与して次世代蛍光顕微鏡を用いたタイムラプスイメージングで観察したところ、ミトコンドリアの損傷部位がfissionによって切り出されて細胞内を輸送される様態やミトコンドリアが細胞外に放出される際の形態的特徴や細胞外に放出されたミトコンドリアの動態を観察することができた。同様に、培養心筋細胞から回収した培地をフローサイトメトリーで解析したところ、CCCP 20uMを投与した培養心筋細胞からはミトコンドリアを含有する小胞がより多く培地内に放出されることを定量的に確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Cas9を発現させた培養心筋細胞にヒトsgRNAライブラリーおよびParkin-gRNAをコードしたレンチウイルスを共感染させたうえでCCCP 20uMを投与して、細胞死が誘導された細胞をAnnexin V結合磁気ビーズで回収し、それらの細胞からDNAを抽出するシステムを構築するのに難渋しているため、上記細胞から抽出したDNAの次世代シークエンスによる解析を未だ行うことができていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
可及的速やかにCas9を発現させた培養心筋細胞にヒトsgRNAライブラリーおよびParkin-gRNAをコードしたレンチウイルスを共感染させたうえでCCCP 20uMを投与して、細胞死が誘導された細胞をAnnexin V結合磁気ビーズで回収し、それらの細胞からDNAを抽出するシステムを構築することができるように努めたい。
|