2023 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアに注目した抗リン脂質抗体による中枢神経障害の病態解明
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23H02942
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渥美 達也 北海道大学, 大学病院, 教授 (20301905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 通仁 北海道大学, 大学病院, 助教 (00835192)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 抗リン脂質抗体 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
膠原病を代表する全身性エリテマトーデス(SLE)やその関連疾患である抗リン脂質抗体症候群(APS)にみられる中枢神経症状は難治性で、患者の生命予後だけでなく患者の生活の質に直結する。APSは抗リン脂質抗体(aPL)と呼ばれる病原性自己抗体が産生され、再発性血栓症や習慣流産などを引き起こす自己免疫疾患である。APS患者では若年でも脳梗塞や心筋梗塞を来すことがあり、致命的になることもあり、また生活の質を著しく低下させ、周囲の介護など社会的な問題にもつながりうる。また、aPL陽性患者では、脳梗塞のみならず、てんかん、舞踏病、横断性脊髄症、多発性硬化症様病態などの特長ある神経疾患がよくみられ、aPL関連神経疾患とよばれる。APSの半数はSLEに合併し、SLEの多様な中枢神経症状の主要な病態のひとつがこのaPL関連神経疾患に属すると考えられる。研究代表者らは、SLEの神経症状の病態に中枢神経系の唯一の免疫細胞であるミクログリアの活性化が関わることを示してきた。本研究の目的は、aPLがミクログリアにどのような変化をもたらすのかを探求し、その機序ならびに新規治療標的分子を明らかにすることとした。これにより若年者に重篤な後遺症をもたらしうるAPS/SLEにおける中枢神経障害の予防と治療に貢献できる。また、ミクログリアの活性化を抑制するメカニズムに注目し、病態を解明することで、その他のミクログリアが関連する認知症、統合失調症、抑うつ症状などにも応用しうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度はaPLを産生するハイブリドーマから抗β2グリコプロテイン I (β2GPI) 抗体のマウスモノクローナル抗体(WBCAL-1)を作成した。同抗体をC57BL/6マウスの脳室内に14日間持続投与したところ、WBCAL-1の脳室内持続投与により認知機能障害と不安様行動を認めた。令和6年度までに治療ターゲットを明らかにする。現時点では順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在β2GPIノックアウトマウスならびにコントロールマウスのミクログリアの分離を行い、現在活性化の有無など解析を進めている。今後はマルチオミクス解析などを駆使し、治療ターゲットの検索ならびにその機能解析を進めていき、新規治療につながる研究へとすすめていく
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[Journal Article] Inhibitor of NF-κB Kinase Subunit ε Contributes to Neuropsychiatric Manifestations in Lupus-Prone Mice Through Microglial Activation.2023
Author(s)
Karino K, Kono M, Takeyama S, Kudo Y, Kanda M, Abe N, Aso K, Fujieda Y, Kato M, Oku K, Amengual O, Atsumi T.
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Journal Title
Arthritis Rheumatol.
Volume: 75(3)
Pages: 411-423
DOI
Peer Reviewed / Open Access