2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the role of gut microbiota in promoting health and longevity
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23H02963
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新 幸二 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (60546787)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 胆汁酸 / 長寿 / ステロイドホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、百歳以上の百寿者から単離した腸内細菌が特殊な二次胆汁酸の代謝を行い、生成されたisoallo-LCAがグラム陽性病原性細菌の排除に効いていることを明らかにしてきた。胆汁酸とステロイドホルモンは共通のステロイド骨格をもつため、ステロイドホルモンの代謝に腸内細菌が関与しているのかを検討した。百寿者の便サンプルから単離した腸内細菌68菌株をテストステロンを加えた培地で培養し、48時間後の培養上清中の代謝物を質量分析計で解析した。その結果、先の胆汁酸の代謝で同定した5α代謝物やヒト体内でも見られる5β代謝物など既知のテストステロン代謝物が検出された。しかしながら、バクテロイデス目がもつ5α還元酵素以外に腸内細菌が持つステロイド代謝に関わる遺伝子はほとんど同定されていない。また、これまで報告されていない構造を持つテストステロン代謝物も検出されている。そのため、ステロイドホルモンの代謝を行う腸内細菌種の同定と責任遺伝子の同定、新規ステロイド化合物の構造解明・機能解明を行っていく必要がある。また腸内細菌が産生したステロイド代謝物が我々宿主にどのような影響を与えているかについても今後解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は百寿者由来の腸内細菌を用いたテストステロン代謝経路の網羅的スクリーニングを行った。質量分析計の最適化に時間がかかったが、これまで胆汁酸で得られた結果と一致するデータが得られたことから、信頼できる測定・解析系を構築することができた。予想されたステロイド代謝物以外にも様々な代謝物が検出され、腸内細菌の広大な機能が未解明であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
ステロイド代謝を行う腸内細菌種・遺伝子の同定 ステロイド代謝を行う腸内細菌のゲノム解読、遺伝子産物のドメイン解析、基質を添加した際の遺伝子発現変化から候補遺伝子を絞り込む。また、候補遺伝子産物のリコンビナントタンパク質の合成や候補遺伝子の欠損細菌株を作成し代謝経路に関与する遺伝子を同定する。
ステロイド代謝産物の宿主作用の解析 百寿者や健康高齢者、若年健常者から収集した便サンプルでのステロイド代謝物を定量し、年齢による変化、長寿との相関のある代謝物を探索する。得られた候補代謝物の受容体の探索のため、Gタンパク質共役型受容体や核内受容体のスクリーニング系を立ち上げ、候補受容体を同定する。無菌マウスに責任腸内細菌を定着させ、便中や血中の代謝物を測定するとともに、様々な臓器・組織でのRNA-seqを行い受容体の発現と腸内細菌定着による下流遺伝子発現変化を検討する。長寿に関与する表現型(高血圧、糖尿病、がん、慢性炎症、筋肉量、骨量など)を中心に、ステロイド代謝物がどのような生理的意義をもつかを検証する。
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Research Products
(5 results)