2023 Fiscal Year Annual Research Report
Would comprehensive analyses of genome and microbiome establish the strategy for decreasing the risk of pancreatic cancer?
Project/Area Number |
23H02984
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大塚 隆生 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20372766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 昭英 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10217151)
杉浦 剛 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40322292)
下之薗 将貴 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (40814322)
井手野 昇 九州大学, 大学病院, 助教 (90883421)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 膵癌 / ゲノム / マイクロバーオーム / リスク低減 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
IPMNと併存膵癌の網羅的遺伝子変異解析の結果からKLF4遺伝子変異に着目し、その変異様式と臨床病理学的特徴を比較した。37例のIPMNのうちKLF4変異を6例に認めた。KLF4変異は年齢、性別、局在、組織亜型、再発率、予後に影響を及ぼさなかったが、KLF4変異IPMNは全例が非浸潤性腫瘍であり、KLF4変異IPMNに高率に併存膵癌が合併していた(83%)。したがってKLF4変異が併存膵癌を合併するIPMNの新規マーカーとなる可能性が示唆された。 一方、IPMNの遺伝子変異数は通常型膵癌と同様に少なく、遺伝子変異解析のみでは効率的な併存膵癌早期診断には繋がらないため、Johns Hopkins大学との共同研究でプロテオミクス解析を行った。その結果、多くのタンパクの異常発現を同定したが、その中で特定の細菌感染に関連するタンパクの異常高発現が明らかとなった。先行研究のマイクロバイオーム解析で腸型の悪性IPMNにfusobacteria感染が多いことを報告したが、高齢者や非浸潤性IPMNで今回のプロテオミクス解析で同定した特定の細菌感染が多いことも見出しており(Surgery 2023; 173, 503-510)、この細菌感染関連タンパクも新たなマーカーとなる可能性がある。 また多施設大規模研究で2,000例以上のIPMNの経過観察を行い、併存膵癌の5年累積発症率が2.11%、一般人口での膵癌発症の5.73倍のリスクがあることを報告した。これは世界でも初めて真のIPMN併存膵癌の頻度を示したものである。また研究代表者がIPMN国際診療ガイドラインをチーフとしてまとめた(Pancreatology 2024; 24: 255-270)。さらに膵癌リスク低減につながる安全なロボット支援低侵襲手術の実臨床での安全な導入も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IPMN併存膵癌のゲノム解析は終了し、現在論文投稿中である。また細菌叢解析も既に外注に依頼している。また海外との共同研究であるプロテオミクス解析も終了しており、論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Johns Hopkins大学の共同研究によるプロテオミクス解析でIPMNにおいて特定の細菌感染に関連するタンパクの異常高発現があることが分かっており、実際に当科で行った細菌叢解析と比較し、さらに免疫染色でvalidationを行い、新たなマーカーとなりうるかを検証する。
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