2023 Fiscal Year Annual Research Report
痛み恐怖記憶による痛み増幅機構の可視化と新規鎮痛標的の探索
Project/Area Number |
23H03004
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 純悟 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40465018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 智 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 客員研究員 (10734832)
寅丸 智子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70594612)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 慢性痛 / 痛み恐怖記憶 / 記憶回路 / 前帯状回 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、痛み増幅機序における痛み記憶の関与を探索するため、マウス神経障害性疼痛モデルにおいて、精神科的研究領域の文脈的恐怖条件付け実験パラダイムを組み合わせ、痛み恐怖記憶の想起による痛み誘発モデルの構築した。そこに本共同研究チームが有する独自の脳組織透明化による3次元的免疫組織学的解析や人工生物発光による非侵襲的な中枢神経活動の可視化(AkaBLI)技術やなどの先端技術を応用することで、「痛み恐怖記憶想起によりどのような機序で痛みが増幅されていくか?」という本研究の核心をなす学術的「問い」に対する答えを見出すことである。これまでに、痛み恐怖記憶モデルにおけるresponder群とnon-responder群との比較検討において、responder群の脊髄で直近の神経活動の活性化を示すArc陽性細胞の数が増加傾向にあることを見出した。また、c-Fos mappingを用いて、脳内各領域におけるニューロンの活性化の度合いを検討しており、responder群での大脳皮質において痛み恐怖記憶想起時のニューロン活性化がむしろ抑制傾向にあることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
痛み恐怖記憶モデルにおけるresponder群とnon-responder群での比較検討により、痛み増強機構に関わる脳領域およびそこで関与するニューロン集団の同定は達成されつつある。一方、この痛み増強機構における神経回路の同定はまだ達成されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
c-Fos mappingで同定された痛み記憶想起による痛み増強機構に関与するニューロン群の特徴付けをさらに進めていく。脊髄と脳を結ぶ神経回路を同定するべく、逆行性・順光性ニューロトレーシングを試みる。これらが順調であれば、同定された神経回路をオプトジェネティクス・ケモジェネティクスにより機能調節することにより、痛み恐怖記憶による痛み増強機構への関与を実証するとともに、治療への発展性を探索する。
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